退屈な日々にスパイスを ページ4
下宿先に着くと鼻をスパイスの
香りがくすぐった。
「おかえりなさい、咲ちゃん。
今日はおばちゃんの特製カレー!
もうすぐ出来るから着替えてきて」
叔母にお礼を言って部屋に向かう。
ここにきてもう半年
暮らしにもだいぶ慣れてきた。
田舎の故郷を出て、叔父さん夫婦の家に下宿してまで都会の学校に
来たのは特に大きな意味はない。
強いて言うならば、自分を変える
きっかけが欲しかった。
なんの彩りもないありふれた日々
そんな日々に思春期ながらに
嫌気がさして、家を飛び出した。
だけど、飛び出したところで
慣れてしまえば都会も田舎も
変わらなかった。
来た当初こそは、慣れない土地に
新鮮な気持ちを抱いていて
多少の彩りがあったが、
最近はもう慣れてしまって
正直退屈な日々が続いていた。
嫌な気持ちが心を埋めるまえに
私は一風呂浴びて
気持ちを流すことにした。
その後、お風呂に入り、
叔母特製のカレーを食べ終えて
布団に潜り込む。思い出していたのは夕方の2人組だった。
「あんな風に、私も恋ができたら
少しは変わるのかなー…」
自分の口からそんな言葉が
こぼれでることが意外で
思わず吹き出した。
馬鹿らし過ぎて笑えてくる。
恋に憧れるうちはきっと
恋なんてできないんだろうな。
何と無くそう思って
気分が落ち込んでくる。
そんな気持ちを抑えるように
静かに、眠りへと落ちた。
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作者名:ゆうな | 作成日時:2016年2月7日 18時