わたしの左手 ars k.nino

お供 ページ12

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開始まで時間が無い。

これ着替えるのは間に合わないかもしれない。









下はパンツスーツだから

これでいいや。

上は中にTシャツ着てるし

着替えに時間を使うより

雅紀も

お供に用意したビールを買わずに

見れない！







そう思い立って

席に向かった。

席の場所は前から７列目。

一番端だから

うん。大丈夫。間に合う。

ビールは、お姉さんが売って歩いてるから

座ってからでも買えそうだな。









そう思って周りを少しキョロキョロしたら

隅の方にちょっとした空間を発見。

いいや。あそこで着替えちゃおう。

Tシャツになるだけなんだから。

ユニフォームを出して

手早く着替えた。







スーツの上着を紙袋に戻して

席に向かって階段をおりた。








さっきまでいなかった隣の人が

座ってる。

初めての観戦だから

グイグイ来るファンの人じゃない方がいいな。

そう思いながら

自分の席に座った。








中継があるって言ってたな。

カメラどこなんだろ？

お？あれが点数が入るテレビで見たことあるアレだ。

キョロキョロし続けてる私に








「・・・あなたさー。初めて？」

そう聞かれて隣を見た。









「あ！さっきの入口の・・・」

回転扉で助けてくれた人だ。

「キョロキョロしすぎ。」

そう言って笑った後

「んでさ。普通、着替える？あんな所で。」

さっき私が着替えてた隅を見ながら言った。

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