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今は ページ33

【胡蝶side】

まだ慣れない。朝、部屋に太陽の光が差し込むのは。今日の朝もそれで起きた。いつもなら、そのまま身支度を済ませ日輪の茶屋『ひのや』に向かうのだが……この朝はそう簡単にはいかなかった。
パチリと目を開けた3秒後。私の頭は覚醒した。理由としては、若草色の袴に抱き付いているのを自覚したからだ。何となく、いつもより安心して寝れたとか思ってたりしなくもない。見覚えがあるようなないような。そんな不確かな頭はそのまま上へと向かった。
そこには、少し羨ましいサラサラの栗色の髪に謎のアイマスク。え?ナニコレ。
総悟がいつもこれを着けているのを想像して可笑しくなった。緩む頬を必死に押さえ、立ち上がろうとしたその時。
背中に暖かくて、でもちょっと固くて。そんな総悟の腕が巻き付いていた。


…………これは。
今度は赤くなりそうな頬を隠すために、もう一度総悟に身を委ねた。

やっぱり誰よりも安心する。



「安心すると思ったらこういうことでしたかィ。」
ふわふわする意識の中。落ち着く声が聞こえる。同じこと思ってたのが嬉しくて、この先も聞きたくて顔をあげなかった。



「俺に自覚させねェで下せェ。」


総悟の口から発せられたその言葉に目が丸くなるのを感じる。総悟は何を自覚したの?その言葉が頭の中をぐるぐると。解決する兆しの見えない悩みほど厄介なものはない。
無理やり、頭の中からその言葉を弾き出して、今さっき起きたように総悟に目を向けた。

嘘なんてつきたくなかった。でも、聞かなかった事にしたらいい。
そうしたらこのまま総悟は、一番安心させてくれる
私が困ったときに側にいてくれる人私は今はそれを望むから。

自分勝手な思いを閉じ込めて、緩んだ腕からすり抜ける。支度をして出掛ける準備をする。総悟をしっかり昇降口まで見送った。
ありがとう。その言葉の裏に隠されたごめんなさい(真実)を彼は気付いただろうか。今はまだ。この先どうなるか分からないから。
今はまだ、幼馴染でいたいの。
今はまだ、気付かない鈍感な私で。
心の奥底で芽吹くモノ(恋心)を知らないフリで。


今、私にやるべき事は他にあるから。それが全部。全部。終わったら。この新しい想いと精一杯。向き合おう。どんなに辛くても。


今の本当の私はそれを望んでいるはずだから。


向き合うための、少しの時間を下さい。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 吉原
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きなこ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます!自己満足だった小説を読んで頂いて、こうやって褒めて頂いて、嬉しいという言葉じゃ足りない位です!更新がなかなか出来なくてごめんなさい!精一杯頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年1月13日 13時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - もうこの小説大好きです!シリアスさの中に恋愛要素って...技術が素晴らしすぎると思いました!情景描写も心理描写も端的で分かりやすく、人間味溢れる銀魂っぽくて素敵です!もうこの小説好きすぎる...!頑張って下さい! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 3ba3df2a95 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ヒジキさん» ありがとうございます!そういって貰えて嬉しいです!! (2018年8月2日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
ヒジキ(プロフ) - 面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年8月2日 1時) (レス) id: 127c0c77c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako__uranai  
作成日時:2018年7月18日 13時

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