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叫び ページ31

【胡蝶side】

近藤さんに拾われた後は、総悟や土方さんと楽しい日々を過ごした。
豪快で、懐が深くて、ゴリラな近藤さん。
血の気が多いけど誰よりも優しくて、マヨラーの土方さん。
一番仲良くて、よく一緒に怒られて、ちょっと意地悪な総悟。
他にも沢山の仲間がいて。いっつも笑顔が溢れてて。
そこで私は、本当の強さを知った。人を倒せる人が強い訳じゃない、人を護れる人が本当に強い人なのだと。
この前まではあの頃が一番楽しかったって思ってた。
……………………今は一番ではなくなってしまっているけれど。


そんな幸せだった生活にも終止符が打たれた。
ある夜中に、私はあまり寝付けなくて布団の中で必死に目を瞑っていた。こうなったら、大体は眠れる。私の経験上そうだった。
でも、この日だけは。最後だと思っていた日だけは、起きていて良かった。眠れなくて良かった。心からそう思う。

時計の針は深夜を回り、明日稽古中に寝てしまわないか心配になっていた。どうせなら総悟も道ずれにしたら、土方さんには怒られないかも。なんて、浅はかな希望から総悟の布団に手をかけたその時だった。
ガラリと襖が開いて、その奥にある黒い影を私の瞳が捉えたのは。下品に笑う男達の仲間を見たのは。
ガタガタと震える体と、そこから離れない目がそれを示していた。

「起きてんのは嬢ちゃんだけか。都合がいいぜ。」
小さくて、でもすごく不快な声で。耳障りな音を作り出した男を私は力強く睨んだ。
でも、そんなのは彼らの目的に何の影響もなくて。彼らは私をヒョイと掴んで、駕籠に乗せて運ぶ。

でも、私だって黙ってやられてる訳じゃない。己の肉体と心を傷付けるよりも、仲間を信じる方がいい。だから、叫んだ。力いっぱい。心から。たとえ、明日喉がかれても。そんなのどうだって良かった。
明日も、皆の笑顔が見られるなら。

駕籠()を壊せたらと、殴り付けるようにしながら叫ぶ。





「お願いッ!! 総悟っ!」

「近藤さん!!」

「土方さん!!」

「助けて!!総悟っ!!」


心からの叫びが届いたらしくて、起きてきた皆。
でも、駕籠に乗っている私には気付かなくて。もう、随分遠くに行ってしまっていて。
声もどんどん届かなくなって。
響かなくなって。
見えなくなって。
一人になって。


それで、私は吉原に来た。日輪の妹分にならされるために。

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きなこ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます!自己満足だった小説を読んで頂いて、こうやって褒めて頂いて、嬉しいという言葉じゃ足りない位です!更新がなかなか出来なくてごめんなさい!精一杯頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年1月13日 13時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - もうこの小説大好きです!シリアスさの中に恋愛要素って...技術が素晴らしすぎると思いました!情景描写も心理描写も端的で分かりやすく、人間味溢れる銀魂っぽくて素敵です!もうこの小説好きすぎる...!頑張って下さい! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 3ba3df2a95 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ヒジキさん» ありがとうございます!そういって貰えて嬉しいです!! (2018年8月2日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
ヒジキ(プロフ) - 面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年8月2日 1時) (レス) id: 127c0c77c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako__uranai  
作成日時:2018年7月18日 13時

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