二人 ページ4
【胡蝶side】
「胡蝶姉様?どうかされました?」
総悟と土方さんを見て昔の余韻に浸っていたら、後ろから部下に声をかけられてハッとした。
「この二人を座敷へ上げておくんなまし。わっちの客人じゃ。」
二人には、話しておかないといけないかもしれない。あのときの事と今の事を。だって大事な幼なじみだもんね。
「主ら。わっちは、吉原に売られた。だから、あのあと会えなんした。許しておくんなし。」
前は、距離なんて無かったのに。何だか、二人と私は違う気がしてならない。
遊女じゃなくても、吉原に売られたことに代わりはないからかな。それか、掟を破った人たちを裁いてきてるからかな。
何だか、理由は分からなかったけれど。
「なんで、いつもみてーに呼んでくれねーんです?なんで、いつもみてーに話してくれねーんです?」
総悟?どうしたの?私なんか悪いことしたっけ。もしかして、私みたいに総悟も距離を感じたのかな?
「主の言うとおりじゃな。わっちが」
「なんで、そのしゃべり方をやめねーんでィ!!」
総悟が感情を表に出して怒っている。珍しい。だから、よっぽど嫌だったんだろう。この郭言葉が。
ごめんね、総悟。私この口調が直らないの。直そうとはしてるんだけどね。ごめんね。
それいらい私は口を開けなかったからか、総悟は、帰ってしまった。
気まずい時間が流れる。
「主も嫌でありんすか?この喋り方は嫌いでありんすか?」
これで土方さんにまでいやがられたらどうしよう。折角会えたのに。もう二度と会えなくなる。
「嫌いじゃねーよ。別に。お前の言葉なら。只、違和感は感じるけどな。」
良かった。昔の私を覚えていてくれて。今の私も受け入れようとしてくれて。
「嬉しいでありんす。また、遊びに来ておくんなまし。奴……総悟も誘ってみておくんなまし。わっちと話して欲しいでありんす。」
もし、良かったらあの時みたいになりたい。私が武州にいた頃みたいに。私がまだ郭言葉を知らなかったときに。
「遊びに来たくなくても、来なくちゃ行けねーんだよ。だから、テメーのとこにもくらぁ。」
なんで土方さんが来なくちゃいけないのか分からなかったけど、嬉しかった。また、話せることに。
「わっち、楽しみに待っていんす。」
笑って、土方さんと別れた。また、私はあの時の私じゃなくて。現実世界に戻された。
「話は終わりんした?」
外っていっても屋根はあるけれど。外……部屋から出ると、月詠に話しかけられた。
「終わったでありんす。」
じゃあ、行くぞというように月詠はうなずいた。
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きなこ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます!自己満足だった小説を読んで頂いて、こうやって褒めて頂いて、嬉しいという言葉じゃ足りない位です!更新がなかなか出来なくてごめんなさい!精一杯頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年1月13日 13時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - もうこの小説大好きです!シリアスさの中に恋愛要素って...技術が素晴らしすぎると思いました!情景描写も心理描写も端的で分かりやすく、人間味溢れる銀魂っぽくて素敵です!もうこの小説好きすぎる...!頑張って下さい! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 3ba3df2a95 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ヒジキさん» ありがとうございます!そういって貰えて嬉しいです!! (2018年8月2日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
ヒジキ(プロフ) - 面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年8月2日 1時) (レス) id: 127c0c77c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako__uranai
作成日時:2018年7月18日 13時