検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:29,075 hit

客人 ページ29

【胡蝶side】

斬って、殴られて、飛ばされて

傷付けて、傷付いて

戦って、戦って、戦って


終わりの見えない戦いに終止符を打ったのは、私達が求めていた太陽。鳳仙が飢えていた太陽。
今では、開いた鉄の空からは、白い雲、青い空、大きな太陽が覗く。
結果として私達は勝った。でも、自由を手に入れる代償も大きかった。感謝はしていなかった。でも、憎めなかった。そんな(鳳仙)を失った。私達が求めていた吉原の太陽を手に入れるためにはそれしかないと分かっていた。それでも戦った。覚悟はできていたはずなのに。

「またアンタはあの事について考えてんのかい?」
日輪が経営を始めた茶屋で、のんびりと過ごしている事が多くなったこの頃。理由としてはこの前負った怪我のはずだった。……でも、なんだかんだ月詠が心配して今も。
愛されてるな。と時折、頬が緩む。

「アンタに頼もうとしてた仕事。あるんだけどねぇ。」
と日輪からの申し出は嬉しかった。でもどんな仕事なのか検討もつかない。うだうだ悩むよりは、どんなことでも仕事してた方がいいか。という甘い考えで了承してしまった。





…………取り消したい。こんなことなんて聞いてない。
綺麗な着物……まあ、太夫が着るようなものに着替えさせられて。髪も結われて。化粧もさせられて。今は、そこそこ豪華な部屋で客人を待ち続けている。
このまま、来なきゃいいのに。そう思った時、こちらへ向かってくる足音が聞こえた。
崩していた足を直して礼をする。襖が開いたら顔を上げつつ自己紹介をする。幼い頃叩き込まれたマニュアル通りに動く。
「胡蝶でありんす。今宵、わっちを可愛がっておくんなまし。」
そこまで言い終わっても返事が返ってこない。ため息しか返ってこない。もしかして、まだお客さんじゃなかったりする?月詠とかだったりして。おずおずと視線を上げると見慣れた顔が…………え?

───────総悟
呟いた声は彼に届いていたのかは分からない。それでも、本日二回目のため息をついて彼は漸く座ったのだった。

「どうしてここに?」
一番聞きたいのはそれである。嫌な想像が頭をよぎる。もしかして、総悟って女で遊ぶような人だったの…………
いつの間にか下を向いていた目線を不安げに総悟の方へと向けた。
「……変な想像しないで下せェ。俺ァ、騙されたんでさァ。近藤さんに。」
総悟が近藤さんに騙される姿は、想像だけでも私が少し笑ってしまう位には面白かった。

昔話→←母親



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 吉原
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きなこ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます!自己満足だった小説を読んで頂いて、こうやって褒めて頂いて、嬉しいという言葉じゃ足りない位です!更新がなかなか出来なくてごめんなさい!精一杯頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年1月13日 13時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - もうこの小説大好きです!シリアスさの中に恋愛要素って...技術が素晴らしすぎると思いました!情景描写も心理描写も端的で分かりやすく、人間味溢れる銀魂っぽくて素敵です!もうこの小説好きすぎる...!頑張って下さい! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 3ba3df2a95 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ヒジキさん» ありがとうございます!そういって貰えて嬉しいです!! (2018年8月2日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
ヒジキ(プロフ) - 面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年8月2日 1時) (レス) id: 127c0c77c2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako__uranai  
作成日時:2018年7月18日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。