客人 ページ29
【胡蝶side】
斬って、殴られて、飛ばされて
傷付けて、傷付いて
戦って、戦って、戦って
終わりの見えない戦いに終止符を打ったのは、私達が求めていた太陽。鳳仙が飢えていた太陽。
今では、開いた鉄の空からは、白い雲、青い空、大きな太陽が覗く。
結果として私達は勝った。でも、自由を手に入れる代償も大きかった。感謝はしていなかった。でも、憎めなかった。そんな
「またアンタはあの事について考えてんのかい?」
日輪が経営を始めた茶屋で、のんびりと過ごしている事が多くなったこの頃。理由としてはこの前負った怪我のはずだった。……でも、なんだかんだ月詠が心配して今も。
愛されてるな。と時折、頬が緩む。
「アンタに頼もうとしてた仕事。あるんだけどねぇ。」
と日輪からの申し出は嬉しかった。でもどんな仕事なのか検討もつかない。うだうだ悩むよりは、どんなことでも仕事してた方がいいか。という甘い考えで了承してしまった。
.
…………取り消したい。こんなことなんて聞いてない。
綺麗な着物……まあ、太夫が着るようなものに着替えさせられて。髪も結われて。化粧もさせられて。今は、そこそこ豪華な部屋で客人を待ち続けている。
このまま、来なきゃいいのに。そう思った時、こちらへ向かってくる足音が聞こえた。
崩していた足を直して礼をする。襖が開いたら顔を上げつつ自己紹介をする。幼い頃叩き込まれたマニュアル通りに動く。
「胡蝶でありんす。今宵、わっちを可愛がっておくんなまし。」
そこまで言い終わっても返事が返ってこない。ため息しか返ってこない。もしかして、まだお客さんじゃなかったりする?月詠とかだったりして。おずおずと視線を上げると見慣れた顔が…………え?
───────総悟
呟いた声は彼に届いていたのかは分からない。それでも、本日二回目のため息をついて彼は漸く座ったのだった。
「どうしてここに?」
一番聞きたいのはそれである。嫌な想像が頭をよぎる。もしかして、総悟って女で遊ぶような人だったの…………
いつの間にか下を向いていた目線を不安げに総悟の方へと向けた。
「……変な想像しないで下せェ。俺ァ、騙されたんでさァ。近藤さんに。」
総悟が近藤さんに騙される姿は、想像だけでも私が少し笑ってしまう位には面白かった。
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きなこ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます!自己満足だった小説を読んで頂いて、こうやって褒めて頂いて、嬉しいという言葉じゃ足りない位です!更新がなかなか出来なくてごめんなさい!精一杯頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年1月13日 13時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - もうこの小説大好きです!シリアスさの中に恋愛要素って...技術が素晴らしすぎると思いました!情景描写も心理描写も端的で分かりやすく、人間味溢れる銀魂っぽくて素敵です!もうこの小説好きすぎる...!頑張って下さい! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 3ba3df2a95 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ヒジキさん» ありがとうございます!そういって貰えて嬉しいです!! (2018年8月2日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
ヒジキ(プロフ) - 面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年8月2日 1時) (レス) id: 127c0c77c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako__uranai
作成日時:2018年7月18日 13時