意味 ページ24
【胡蝶side】
「裏切り者には死を。それが
そう。それが私達のずっと言い続けて来たこと。ずっとやってきたこと。
「その命をもってして、最後の掟。護るがいい!!」
それをするべきかもしれない。それで償うべきなのかもしれない。
こちらに向かって駆け出してくる百華を見ながら思う。
私はそこまでできた人間じゃない。
死にたくはないし、なんだかんだ言って自分の身が一番可愛い。それでも裏切り者になったのは、私は死なない。そう確信できたから。
銀色を納め、真っ直ぐ見つめ直す。
「嬉しいねえ。遊女総出の総仕舞たァ男冥利に尽きるぜ。んだが、こう貧乳ばかりじゃ興も醒めるってもんだ。」
三人が着物に手をかける。私も火種の準備をする。普段扱わないものだから手への収まりが少し悪い。
「女はやっぱり……爆乳でござんしょ。」
銀時のもつ爆玉の一つに月詠が。もう一つに私が。煙管を近付けて火をつける。
爆玉を見て、百華の動きが止まるのを感じる。この雰囲気の中では異様な光景だった。
「さあ楽しい
そう言って意地の悪い笑顔を浮かべた瞬間。爆玉は、大きな破壊音をたてて弾けた。
「追えェェ!!」
さっきの爆玉が煙玉だと気付いたようで、追うように指示する叫び声が聞こえる。
追われるなら逃げる迄だけれど。
逃げる先にも百華。一度挟まれてしまっては埒があかない。ここは誰かが囮になって惹き付けなければ。
「ここでしばらく食い止める。先にいきなんし。」
階段の前で一人立つ月詠には真の強さを感じる。
「お前死ぬ気アルか。」
死なせない。もう誰も。このくだらない街のために大切な人を死なせない。
「大丈夫じゃ。月詠が死ぬ事はありんせん。わっちが月詠を護るからのう。」
三人に託そう。この三人が一人でもかけたらいけない。
だから、吉原に太陽をあげて。皆が笑顔を取り戻せる太陽を。
「…………火種を寄越せ。オメーと一緒になくなられちゃ困るんだよ。
…………それからテメーは刀を寄越せ。俺がおっ死んだら、太陽があがんねーだろうが。」
心のうちが見透かされている気がした。
確かに鳳仙は木刀一本で勝てる相手じゃない。でも、銀時が言ったのはそれだけの意味じゃないはず。
「俺に壊されたく無かったら、戻ってこい。必ず戻って取り返してみろ。さっさと戻ってこねーと、両方ともバキバキだからな。」
死ぬな
そう言っている気がした。
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きなこ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます!自己満足だった小説を読んで頂いて、こうやって褒めて頂いて、嬉しいという言葉じゃ足りない位です!更新がなかなか出来なくてごめんなさい!精一杯頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年1月13日 13時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - もうこの小説大好きです!シリアスさの中に恋愛要素って...技術が素晴らしすぎると思いました!情景描写も心理描写も端的で分かりやすく、人間味溢れる銀魂っぽくて素敵です!もうこの小説好きすぎる...!頑張って下さい! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 3ba3df2a95 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ヒジキさん» ありがとうございます!そういって貰えて嬉しいです!! (2018年8月2日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
ヒジキ(プロフ) - 面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年8月2日 1時) (レス) id: 127c0c77c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako__uranai
作成日時:2018年7月18日 13時