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信念 ページ20

【胡蝶side】

「すまぬ。わっちがもっと早くに逃がしていれば。」
吉原の一角。ボロボロの建物の中に取り敢えず逃げ込んだ私達。
月詠の言うとおりだ。私がもっと早くに気付けていたら。晴太は護れただろう。銀時や、神楽、新八をこの事に巻き込むことも無かっただろう。いくら後悔しても、いくら謝っても足りないくらいだ。
…………でも、だからこそ、謝るわけにはいかなかった。
多分、この人達は底抜けのお人好しだ。謝ったらこの人達は、私達のために動くかもしれない。それに頼っていいの?と私は自分の心に問う。
でも、私の意志とは関係なく口は動き始めていた。
「ぬしらを、関係の無いことに巻き込んでしまったのはわっちらの責任じゃ。」
すまなんだ。その言葉を最後に付け加えてしまった。謝ってしまったのだ。
その代わりに私は気付いた。この人達は、ただの底抜けのお人好しなんかじゃない。
この人達は、自分の信念を曲げない侍であると。
だからだろうか。この人達から懐かしい匂いがするのは。
「謝る必要なんてねーよ。元から俺達ゃ逃げるつもりなんざ更々ねーし。」
だからだろうか。あの人達に何処と無く似た根拠のない安心感があるのは。
どんどん似ている雰囲気を感じ思わず笑いそうになってしまった。
「……行くのか。」
「行かなきゃ晴太くんが死にます。」
真っ直ぐ淀みのない目をした新八は月詠の質問にそう答えた。月詠の今の確認は自分の心に区切りを付けるためなのかもしれない。じゃあ、私も決めなくちゃ。自分の進むべき道を。
あの人が言っていた、自分の信念とやらの道筋を。


「行けばぬしらも死ぬ。夜兎が4人。軍隊一個あってもたりぬぞ。」
兄貴(アイツ)は私がなんとかしなきゃならないネ。」
その兄に殴りかかった片手を見つめながら神楽はそう宣言していた。
この3人は行くのだろう。例え、己の肉体が滅びても。己の気高き魂を護るために。
私の覚悟は決まった。もう、自分の心に嘘をつくのは止めよう。


「誰がために行く。晴太か、日輪か。」
「……ちょっくら、太陽(おひさん)とり戻しに行ってくる。こんな暗がりに閉じ込められるうちにみーんな忘れちまった太陽を……
どんな場所だろうとよ。どんな境遇だろうとよ。太陽(おひさん)はあるんだぜ。」
私は、運命が変わった日の空を思い出す。雲一つ無い綺麗な青空だった。今、私の上に浮かぶのは鉛の空。でも、空を見た。次に空を見上げるときにはどうなっているだろうか。

太陽→←三匹



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きなこ(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます!自己満足だった小説を読んで頂いて、こうやって褒めて頂いて、嬉しいという言葉じゃ足りない位です!更新がなかなか出来なくてごめんなさい!精一杯頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年1月13日 13時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - もうこの小説大好きです!シリアスさの中に恋愛要素って...技術が素晴らしすぎると思いました!情景描写も心理描写も端的で分かりやすく、人間味溢れる銀魂っぽくて素敵です!もうこの小説好きすぎる...!頑張って下さい! (2019年1月12日 17時) (レス) id: 3ba3df2a95 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - ヒジキさん» ありがとうございます!そういって貰えて嬉しいです!! (2018年8月2日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
ヒジキ(プロフ) - 面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年8月2日 1時) (レス) id: 127c0c77c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako__uranai  
作成日時:2018年7月18日 13時

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