story43 教え ページ44
【Aside】
今は隊士に襲われつつ、壊れ掛けたパトカーに乗っている状態だ。……仲間に殺されかけるなんて始めてかも。土方は何度かあるけど。
それに、局中法度は何処へ行ってしまったのだろうか。伊東が首謀者となった集団は近藤さんを暗殺するために列車で武州に向かっている。私達はそれを止めるために急いでいるのだが……
「土方さん!!」
「僕は知らない。僕は知らない。」
震えながら言う。止めて。知らないわけ無い。「しっかりしてください。土方さん!このままじゃ、あなたの大切な人が……あなたの大切な物が……全部失くなっちゃうかも知れないんですよ!!」
新八君……ありがとう。でも、ここで土方は帰って来てくれ無い。
「銀ちゃん。どーするアル?」
「……神楽。無線を全車両から本部まで繋げろ。」
「あいあいさ。」
旦那が何をする気なのかは私にはまだ、分からない。でも、全く関係ない旦那がここまでしてくれているのだ。私も何か、しなくちゃ。
旦那が隊士にこの事を伝えてくれたあと、私は考えたことを伝えた。
「私は、総悟を助けに行きます。多分一人で戦ってるから。私の好きな真選組を守るためにいってきます。土方は任せました。」
そう言って旦那達に隊服を渡してパトカーから降りて走った。旦那と神楽と新八君が、
「オー。行ってこい。行ってこい。」
「任せるアル!」
「Aさん頑張ってくださいね!」
こうやって一人一人言葉を掛けてくれて嬉しかった。だから、グーサインを手で作って旦那達に見せた。
私が列車に追い付くと総悟は、たくさんの隊士に囲まれていた。すぐに助けようと思ったが、足を止め列車の中には入らなかった。総悟は総悟で筋を通すからだ。
「真選組一番隊隊長として……てめーらに最後の教えを授けてやらァ。圧倒的に力のある敵を前にしたとき、その実力差を覆すには数に頼るのが一番だ。呼吸を合わせろ。身体ともに気を練り最も充実した瞬間同時に、一斉に斬りかかれ。そして……」
隊士が列車の中や外を跳ねる。
「死んじまいなァ。」
その言葉で私は、列車の扉を開けて中へはいる。わざとコツコツとピンヒールの音をならして。
「お前らにはまだ足りないものがある。それを私が……真選組総長が教えてあげる。暗殺とかそういう汚い真似をするな。相手を倒したいなら正々堂々と戦え。いくら相手が強くて勝てないような敵でもな。」
そう言って私も、目の前の
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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako_uranai
作成日時:2018年2月5日 13時