story42 列車 ページ43
【総悟side】
武州に向かう列車のなか。俺ァ外の見廻りを託されたんたが、しっかり仕事するわけもなく。ということで中を回ってる。そこで近藤さんが乗っている車両の前についた。入ったら、サボってんのがバレるから……まァバレても良いが、
そんなわけで折り返すか。そう考えていた俺は、ある風景をみて足を止めた。
そしてわざと大きな音を立てながら、ドアを開けて車両に入った。
「沖田君。何をやっている?君は見張りのはず。」
「……が何やってんだ。」
伊東がよくわからないと言ったような表情をする。だから、俺はもう一度繰り返した。
「てめーが何やってんだって聞いてんだァ。クソヤロー。」
アイツらは……伊東達は近藤さんに、刀を向けていた。
「沖田君、伊東先生になんて口を……」
「手を離せ。」
俺の肩をつかんで、抗議してくるやつを斬った。手を離せと言ったのは近藤さんからだ。
「その人から、手を離せっていってんだァァァ。」
俺は、近藤さんに刀を向けているやつらをにらみ言った。それでもまだ、手を離さないそいつらにゆっくりと近づいて行く。
「総悟……」
「沖田君。やはり君は……土方派……僕に近づきその動向を探るためのスパイ。土方を裏切ったのも僕を欺くための芝居だったか。」
土方派とか、伊東派とか俺には関係無ェ。ただ俺は……
「芝居じゃねーよ。……言ったはずだ。俺の眼中にあるのは副長の座だけだ。邪魔な奴は誰だろうと叩き潰す。土方は消えた。次は……テメーの番だよ。伊東先生。」
小バカにするように相手の名前を先生を付けて呼んだ。そして俺は、伊東に刀を向けた。
「俺ァ。てめーの下にも
そう言って不敵に笑った。
───これから、俺達の戦いが始まる。
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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako_uranai
作成日時:2018年2月5日 13時