最終話後編(独歩 一二三目線) ページ12
……通話を切り、一二三と夜のシンジュクを再び歩く。
…いや、歩く…じゃないな、これは
独歩「おいっ…はぁっ、はぁ……何でまた走るんだよ…っ!!」
何故か、また自宅への帰路を一二三と共に駆けていた。
一二三「あはは独歩ちん、まーじ遅すぎなんですけど!…うーん、もうちょい体力付けた方がいいと思うぞ〜?」
独歩「はぁっ……お前が…元気過ぎるんだよ…」
一二三と共に進む帰り道、
酒缶の入った、ビニール袋を揺らす。
独歩(…あぁ、幸せだな。)
好きな奴と一緒に暮らせて、
好きな奴とこんな風に笑い合えて、
…こんなにも好きな奴と、出会えて。
一二三の為なら、俺はきっと…死ぬ事すらも躊躇しないだろう。
独歩(……ずっと、ずっと愛してるよ。)
…「好き」って、そう言ったらどうなるんだろう。
気持ちはきっと楽になる、きっと、もうこんなモヤモヤには悩まされなくなる。
…けど、きっと、元の関係には一生戻れない。
多分、独歩が望んでる関係じゃないから。
俺は一生この気持ちは明かせない。
……いや、違うな。
一二三(…ただ、俺っちに勇気が無いだけなんだ。)
あぁ、神様、…こんな馬鹿みたいに月の綺麗な夜に、俺の願い一つくらい、容易く叶えてくれないだろうか。
俺っちは…俺はやっぱり……
一二三(独歩の事が、好きで好きでたまらないんだ……。)
いつかこの想いを明かせることをただただ願う。
また、こんな素敵な夜が来る事を、
…こんな素敵な夜に、想いを伝えれる事を。
ただただ祈るばかりだった。
今日はまだ、友達のまま、
この夜を過ごすんだ。
独歩(いつか、きっと、言える日が来るのかもしれない。)
一二三(……この恋が実る日が、いつかは来るのかもしれない。)
二人(あぁ……この美しい夜が、有給前夜が永遠に明けなければ良いのにな。)
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「有給前夜」完
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作者名:ゆうきぶつ | 作成日時:2020年9月8日 0時