最終話前編(独歩目線) ページ11
一二三「お、誰?先生から?」
独歩「あぁ、ほら。」
俺は一二三にスマホ画面を向ける。
メールの内容は
「お仕事終わりでしたか。
独歩君、いつもお疲れ様です。
明日は独歩君の貴重な休日ですから、少しでも息抜き出来たら、チームメイトとして、担当医としてとても嬉しい限りです。
明日は思い切り楽しみましょうね。」
といったものだった。
一二三「ふむふむ、…あ、そうだ!独歩ちんちょっとスマホ貸して?」
独歩「?あ、あぁ」
どういった脈絡でその発想に至ったのか何も分からないが、一先ず一二三に、スマホをそのまま渡した。
一二三は指で画面に触れ、…
スマホから、トゥルルル、と発信音が流れた。
独歩「ひ、一二三!?誰に電話かけて…」
…いや、一二三が電話する相手なんて一人しかいない。
聞かなくても分かる。
一二三は人差し指を立て、手を口に添え
「しーっ」と子供を黙らせるような仕草を見せる。
一二三「あ、もしもし〜!先生!」
「はい、もしもし。…一二三君、ですか?」
独歩「お、おい…もう夜も遅いし、先生に迷惑に…」
「独歩君、気にしなくて大丈夫ですよ。
私は全く迷惑だと思っていないし…寧ろ、嬉しいんです。寝る前に二人の声が聞けて。」
一二三「俺っちも先生の声が聞けてちょー嬉しいっす!な、独歩も同じだろ?」
独歩「ま、まぁ、そりゃあ嬉しいけど…。
すみません、先生。…あ、一二三、お前が先生にかけたんだから、何か言う事とかあるんじゃないのか?」
一二三「あー!そうだった!
先生、俺っちも明日休みだから、釣りぜぇったい行きますっす〜!!」
「ふふ、それはとても嬉しいです。
三人で行けるなんて、いつぶりでしょうか。」
一二三「いつもは殆ど俺っちと先生だけだからな〜!
独歩ちん有給取れな過ぎて。」
独歩「ぐっ…しょ、しょうがないだろ…。大体、あのハゲ課長が全部悪いんだ。
…あのハゲ、俺に仕事全っ部押し付けた癖して自分は旅行に行きやがって…。
あの時もそうだ…あぁ……あんのクソハゲ…いつか申し訳程度に残ってる髪の毛を毟り取ってやる…。」
一二三「も〜!独歩ちん、またいつもの出てるぞ?
よしよーし、独歩ちんは悪くないぞ〜」
一二三が背中を優しく摩ってくれる。
独歩(……暖かい。)
「独歩君、課長さんが極悪非道な方なのは分かるけれど…髪の毛を毟るのは流石にやめようね。」
独歩「は、はい!き、気を付けます…毟らないように…。」
続く
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作者名:ゆうきぶつ | 作成日時:2020年9月8日 0時