34話 練習 ページ36
第1体育館から順々に回っていって、第4体育館にたどり着く。
中の電気はまだ付いていて、ドリブルをする音もわずかに聞こえる。
A「玲！いるか？」
松下「およ？1年生のおでましだね。」
斎藤「さすがにバレたか…」
田中「今まで2週間ぐらいバレなかった方がすごいと思うけどな。」
勢いよく体育館のドアを開けると、そこには玲とスタメンの先輩達がいた。
みんな各々ドリンクを飲んだり汗を拭いたりしている。
関口「どういう…？」
星野「玲が財布忘れて一回学校に戻った日、あるだろ？あん時に俺たちが放課後自主練してんのバレて、お前らに言わない代わりに一緒に参加してたんだ。」
虹村「俺らに言わない代わりに…？」
松下「コソ練してんのバレたらダサいじゃん！先輩として、お前らより上手くいたいからさ！って斎藤先輩が！」
斎藤「言ってねぇよ！」
パシンっといい音が体育館に響くと、玲が吹き出す。
倉田「ごめんね、斎藤先輩に秘密にしろって言われてたから言えなくて…隠そうと思ってたわけじゃないよ。」
斎藤「倉田、歯食いしばれ。」
一気に理解ができた。
マジバに星野先輩と2人で入ってきた理由も、夜中職員室に行っていた理由も、先輩達と仲良くなった理由も、俺たちと一緒に帰らなくなった理由も。
A「なんだ…。マジで女かと思った。」
倉田「だから違うって…」
湊「もうバレちゃったなら、僕たちも一緒にいいですか？」
田中「こうなったら仕方がないな。放課後の自主練ついでに一緒に試合するのも悪くないかもな。」
星野「玲、強くなったお前をあいつらに見せつけてやれよ！」
玲は自分の頭を豪快に撫でる星野先輩を振り払ってニコッと微笑む。
っていうか普通にずるい。
俺だって先輩達と試合したい…。
佐久間先輩に色々と教えてほしい…。
佐久間「そんな子犬みたいな顔しなくてもいつでも教えるから安心しろ。」
そんな俺に気づいたのか、佐久間先輩は俺に声をかけてくれた。
子犬っていう言葉が気になるけど。
田中「でも、普段の自主練は第1体育館使えよ。ここ3軍の体育館だし。」
斎藤「試合も、無理じゃない範囲でならしような。」
俺たちと先輩達との間のルールを新しく決めて、久しぶりに1年5人で一緒に帰る。
玲の自慢話を聞きながら…
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作者名：雪 | 作成日時：2015年11月23日 1時
