閑話// きっとまた誰かを、好きになる 03 ページ42
中学に上がる頃には自分のAへの気持ちが所謂「恋」に分類される事には気付いていた。兄貴がいた所為もあってか同年代の男子よりもそういうのが早かったような気もする。でもだからと言ってAに対して何かをする、という発想は当時の俺の頭の中には無かったのだ。俺にとってAが特別なように、Aにとってだって俺が特別だと勝手に感じていたから、いずれなるようになると思い込んでいた。
中学に入ってすぐに部活もクラスも一緒の高地と仲良くなった。高地は良い奴で俺のボケにも突っ込んでくれるし、意外と天然で面白い。Aもユカという気の合う友達を見つけたみたいで、段々と俺はユカとも話をするようになったし、Aも高地と話すようになった。
「…………」
ある日の昼休み、用事があって教室を留守にして戻ったら、仲が良さそうに話しているAと高地の姿が目に映った。あんな風にはにかむように笑うAの表情を初めて見た気がした。今迄に感じた事のないざらっとした気持ち悪い感触が胸の辺りにつっかえた。
「お前の幼馴染、危なっかしいな」
放課後、部活に一緒に向いながら高地がそんな事を言ってきた。
「見てて心配になるわ」
なんて言いながらその表情は随分と優しくて。
嫌な予感は最初からしていたのに、俺は「気の所為だ」と自分に言い聞かせて結局何もしないまま手遅れになった。
「俺、Aの事好きなんだよね。協力しろとかそういうんじゃないけど、お前には言っとこうと思って」
あの時そう告げた高地が俺のAへの気持ちに気付いていたのかどうかは今も解らない。
「そっかあ！まあAは良い奴だからな。応援するよ」
ただあるのは、真っ直ぐに向けられた高地の言葉に怖気付いて俺が逃げ出した、という事実だけだ。
だって本当は気付いていた。見て見ぬふりをしていたけれど、気付いていた。高地がAに惹かれたようにAも高地に惹かれている事に。Aが高地に向ける眼差しに、俺に対してはない甘さが滲んでいることに。
暫くして、Aと高地は付き合い出した。けれどそれでAが俺に向ける笑顔が変わる事はなかった。俺はもやもやした気持ちを抱えたまま、試しに他の子とも付き合ってみたりして、それなりに続いたけれど結局、Aと高地を見る度に感じる胸の痛みは弱くはなっても完全に消える事はなかった。
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夕色(プロフ) - つばささん» つばささん！ありがとうございますっ。なんとか完結出来ました。でも今だいぶ空気が抜けた風船みたいな状態なので、すぐに次の話を書ける方すごいなーという気持ちでいっぱいです(^_^;)。 (2022年1月24日 19時) (
レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - ID違うけどつばさです！完結おめでとうございます！キュンとしたり切なかったり…本当に素敵なお話でした(^^)終わりは寂しいですがお疲れ様でした✨ (2022年1月24日 16時) (レス) id: d22c4c2f70 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます！月曜固定更新にしたのは、自分的に楽だったからですが読んでくれてる方にも楽しみにして頂いたみたいで嬉しいです。二人とも良い子なのできっと良い人に巡り会えるはず！自己満足な裏設定もお読み頂きありがとうございました😊。 (2022年1月24日 14時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - はじめてコメントします。このお話を見つけてから、毎週月曜日が楽しみでした。ようやく二人が結ばれてほっとしましたか、失恋した2人も近い未来、大切な誰かと出会えますように。皆優しくて、読んでいて心地いいお話でした。裏設定、面白かったです(*´∀`)♪ (2022年1月24日 10時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ubisiさん» コメありがとうございます！なんとか無事に走り切ることが出来ました。青春ど真ん中の話が書きたかったのでそれを感じて貰えたみたいで良かったです。 (2022年1月24日 10時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕色 | 作成日時：2021年11月22日 8時
