放課後、二人で、恋を話した 04 ページ37
「……え、」
私の言葉に今度は田中君が驚いた顔をした。
「私今は誰とも付き合ってない」
好きな人はいるけど。大好きな人はいるけれど。
「うっそ。うわ、待って。俺今めっちゃ恥ずい」
目を丸くした後に、色々冷静になったのか田中君が顔を赤くしてそれを隠すように手で顔覆った。いつも格好良い田中君のそんな姿を見るのは初めてで、私は内心で驚くと同時にそんな一面を見れた事が少し嬉しいだなんて思ったりして。
「田中君でもそんな顔するんだね」
なんて思わず笑みを溢したら、多少落ち着いたのかむっとした顔を田中君が私に向けた。
「俺、Aちゃん事になるとこんなんばっかだよ」
びっきらぼうに田中君が続ける。でもそんな風に言われたら頭の芯が甘く痺れてくる。鼓動が少しずつ速くなる。
「空回りしたり早とちりしたりそんなんばっか」
「そんなの、私だって、そう、だよ」
田中君のコトになると当たり前みたいな事ができなくなったり、解らなくなったりする。
「またなんかして、田中君に嫌われたのかもって怖かった」
ぽつりと溢れた私の本音に田中君が顔を顰めた。
「は？なんで、」
「だって田中君、私のコト避けてたじゃん」
「っ、それは」
気不味そうに目を逸らされる。
「私、今日、それが訊きたくて。このまま、田中君と気不味いまま夏休みに入るのが嫌だったから」
「避けれたのは、事実。ごめん。でもAちゃんが俺に何かしたとかじゃない」
「じゃあ、なんで」
「……言わなきゃダメ？」
なんて甘えるように尋ねられると思わず『ダメじゃないよ』と答えそうになる。でもそれは私の本音じゃなかった。
「言って欲しい」
そう伝えれば田中君は小さく溜息を吐いた。けれどやがて顔を上げて真っ直ぐに私の方を見つめる。
「言ったらまたAちゃんの事困らせるよ？」
「今のままよりはずっとその方がいい」
私の返事に田中君はまるで聞き分けのない子供を相手にするみたいに困った顔で笑った。その優しい眼差しが、好きで。
「……」
「……」
少しの沈黙があって、観念したみたいに田中君が口を開いた。
「……Aちゃんと慎太郎が付き合い出したなら、今度こそAちゃんの事諦めないとなって思ってた」
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夕色(プロフ) - つばささん» つばささん！ありがとうございますっ。なんとか完結出来ました。でも今だいぶ空気が抜けた風船みたいな状態なので、すぐに次の話を書ける方すごいなーという気持ちでいっぱいです(^_^;)。 (2022年1月24日 19時) (
レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - ID違うけどつばさです！完結おめでとうございます！キュンとしたり切なかったり…本当に素敵なお話でした(^^)終わりは寂しいですがお疲れ様でした✨ (2022年1月24日 16時) (レス) id: d22c4c2f70 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます！月曜固定更新にしたのは、自分的に楽だったからですが読んでくれてる方にも楽しみにして頂いたみたいで嬉しいです。二人とも良い子なのできっと良い人に巡り会えるはず！自己満足な裏設定もお読み頂きありがとうございました😊。 (2022年1月24日 14時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - はじめてコメントします。このお話を見つけてから、毎週月曜日が楽しみでした。ようやく二人が結ばれてほっとしましたか、失恋した2人も近い未来、大切な誰かと出会えますように。皆優しくて、読んでいて心地いいお話でした。裏設定、面白かったです(*´∀`)♪ (2022年1月24日 10時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ubisiさん» コメありがとうございます！なんとか無事に走り切ることが出来ました。青春ど真ん中の話が書きたかったのでそれを感じて貰えたみたいで良かったです。 (2022年1月24日 10時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕色 | 作成日時：2021年11月22日 8時
