温もり ページ8
『えっ・・・』
私は抱きしめられていた。そして、離れたかと思えば、
「頑張ったな、辛かったんだろ?」
と、頭を撫でられる。
そうだ、私は・・・。
『辛かった・・・んだ・・・』
確かに、辛かった。寂しかった。・・・誰も、誰も私のこと、見てくれなかったから。何処まで強がったって、そのことに、変わりはなかった。
『・・・・・・っ』
自覚して、涙が溢れた。そして、こぼれて、こぼれて。止まらない。
『っ・・・ふ・・・っ』
泣きたいわけじゃない。泣いたら負けだって、思うから。泣きたくない。だけど、それとは別に涙はこぼれてくる。
そして、中也さんは、ただただ、私の頭を撫で続けてくれていた。それが、とても温かくて、余計に涙がこぼれてしまったんだ。
『・・・っ、ちゅ・・・やさんっ・・・』
「俺は此処に居るっての。・・・だから、そんな泣くな」
そして、中也さんは、太陽のようなとても明るい笑顔を私に向けて、
「俺が傍に居るから」
と、付け足してくれた。
・・・中也さんは、彼は、優しい人だ。そして、それ故に、とても強く、儚い人だ。私は、思わず彼の服を握った。
「え?」
中也さんは、素っ頓狂な声を出していたが、私には関係ない。
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作者名:朝宮藍良 | 作者ホームページ:http://yuuha0421
作成日時:2023年10月18日 19時