現実の残酷さ(過去編終了) ページ7
だけど私は、そんなの、どうでもよかった。
ただ、ただ、彼女と仲良くしていたかった。この頃は。
だけどある日、れいに声をかけられた。
『れいちゃん、なぁに?どうしたの?』
許してくれる。その気持ちと期待に胸が膨らんだ。だが、
「A。お前の役目、判るよね?」
と、云われた。私の中で、期待に膨らんだ胸が沈んでいく。
熱くなった心が、冷めていく。
『役目って何?』
思わず聞き返す。自分の予想が違うと思いたくて。
だけど、だけど、現実は結局は残酷なんだ。
「あれ?判ってないの?」
そして、次の一言で私は現実の残酷さを突きつけられた。
「お前はうちの“引き立て役”なんだよ?」
と。・・・その時、私の中の何かが崩れ落ちた。そして、その時から、“本当の意味”での、“どうでもいい”になった。だって、そう思った方が楽だったんだもん。
そして、そんなふうに過ごしていたある日。家からの帰り道。唐突に私の中で、“生きる意味”を見失った。だから私は、車道に飛び出した。
・
『・・・だけど運良く助かって、学校に行きたくなかったので家出してきたんです』
と、話を締めくくる。そしたら、彼はほんの少し驚いていたのか、目を見開いていたが、すぐに見えなくなった。だけど、その直後に、彼の香りと体温に包まれる。
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作者名:朝宮藍良 | 作者ホームページ:http://yuuha0421
作成日時:2023年10月18日 19時