第十三話 ページ15
「太宰が行方不明ィ!?」
うるさいなぁ。そう思いながらため息を漏らす。
「えぇ、それが、下宿にも帰ってないみたいで・・・」
そしたら、みんなから色々出た。拘置所とか、川とか。・・・なんでまともなのがないの?そう思いつつ、ほんの少し苦笑するだけで留めている。とまぁ、こんな一悶着があったあと、
オレは何故か、マフィアに捕まりました。
あ、無論、近くに治も居ます。
・・・なんででしょうね。そんなことをぼーっと考えていると、芥川さんと治の会話が少し聞こえてきました。オレはほんの少し眠りそうになりつつ、うたた寝で済ませてます。
いや今寝たら呑気な奴だって、異端だって、思われるじゃん。まぁそんなことを考えていた。そして、どれくらいの時間が経ったのだろうか?
・・・中也と治の会話が聞こえてきた。どうやら、また中也のことを揶揄ってるらしい。
『・・・相変わらず・・・か』
思わずため息が漏れた。そしたら、
「あれー?つーちゃんじゃん」
と、声がして慌てて顔を上げる。そしたら、れんだった。
『れん・・・』
「ねぇ、戻ってきてくれる・・・?」
『・・・ごめん。それはできない。』
「どうして?」
純粋に尋ねる蓮。オレは少し笑う。
『判りきってる答えだよ。あそこ・・・は
オレを受け入れてくれるから』
「・・・おれもつーちゃんのこと、受け入れてるよ?」
『うん。けど、オレは・・・』
あっちの方が居心地が良い。そう云おうとして、言葉を飲み込んだ。何故なら、れんの瞳に僅かながら狂気を見た気がしたから。気のせいだと思うけど。
『・・・・・・』
「急にどうしたの?つーちゃん」
『なにもないよ?』
「そっか」
『うん。』
「ねぇ、もう一回云うけど、戻ってこないの?」
『何回も云うけど、戻らないってば。』
「そう。」
『うん』
「つーちゃんはさ、
おれのこと嫌い?」
『・・・えっ?』
「・・・嫌いなの?」
『違うけど・・・・・・』
彼から思わず視線を逸らす。
オレ・・・れんのことは好き。だけど、戻りたくない。・・・れんの傍に居れるのなら、戻ったら良い筈、なのに。
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