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切削 ページ32

※R15くらい

帳が降り、困惑する虎杖。
目ざとく五条悟を見つける東堂。
そして花御が撤退を宣言しようとした瞬間、
縺ェ縺」(なっ!)
花御の額に剣が生え、そのまま下に振り降ろされた。

禪院(かなえ)は数少ない上層部に従順な特級呪術師であり、現状五条悟を殺せるとされる唯一の術師でもある。
彼女は禪院分家の出身で奇跡的に十種影法術を継いだ。分家で相伝を受け継いだ例はあまりない。故に彼等は鼎に強さを求めた。
味覚を封じて
嗅覚を封じて
感情を封じて
欲を封じて
彼女が扱える式神を全て封じて
そうして得られた莫大な呪力と天与呪縛にも劣らない身体能力によって、鼎は異界神将魔虚羅を調伏した。
これには本家も湧きに湧いた。すぐさま鼎に次期当主の婚約者の座を与え、また彼女の階級を思う存分利用した。乙骨憂太を庇って五条悟が傷を受けた事も相まって、その価値は現在も留まることなく高まり続けている。

『特級呪霊消滅確認』
「伏黒…に、似てる?」
「兄弟。アレはもう、人ではない」
特級特有の圧は無い。己の力も、魔虚羅の力も完全に制御して鼎はそこに立っていた。
しかし確かにその力は影響している。
「うおっ」
右腕を向けられた途端に宿儺の呪力が乱れる。魂が最も近い虎杖にだけ感じられる感情は、
「んだこれ…威嚇?」
未だ力の半分も取り戻していない宿儺に浴びせられた、純然たる正のエネルギー。今虎杖を殺されて仕舞えば内に居る自分も消滅するであろう。自己の消失は確かに宿儺に恐怖を覚えさせていた。
「駄目だよ、鼎」
『…五条悟』
「僕がみすみす生徒を殺させると思う?」
無表情に六眼を見返して魔虚羅を影に戻す。用は無いとばかりにその場を去った鼎の背に、虎杖の中から、殺意が向けられていた。



「やっぱり流石やね。鼎」
『お褒めに預り、光栄です』
「ええよ、そないな言葉遣い。ヤってる時も敬語やん。楽にせえよ」
『申し訳…御座いません』
薄い着物一枚だけを着た直哉に抱き竦められている裸身の鼎。身体のあちこちに鬱血の跡があり、腹に腕を回されている。汗が引いて冷えた体を、じんわりと体温が温める。
「早よ子供産まれへんかな」
『何れ、必ず』
「待っとるわ。それ迄俺を愉しませて、な?」

知らない→←全てを救う



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作者名:くろ | 作成日時:2020年11月5日 22時

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