【BTS】ユンギヒョンがご乱心じゃ！ (ページ10)

今日:8 hit、昨日:23 hit、合計:409,560 hit

10.葛藤と葛藤 YG side ページ10

※YG side

無事カムバック初日を終えた。

控え室へ戻ると、Aヌナに今日の感想を聞くのがこの一年の日課のようになっていた。

皆が他の共演者と話したりバックステージカメラにアピールしてる中、一目散に戻るのは俺だけ。

控え室の扉を開けると壁に取り付けられたモニターに釘付けだったのか、立ったままのAヌナの姿。

『お疲れ様でした！』

YG｢お疲れ様。ヌナ、今日どうだった？｣

早く褒めて欲しい子供のようだが、そこは至っていつも通り聞いたつもりだった。

『本当に、本当に、言葉が見つからないほど、凄く良かったです！』

感無量だと言うことがひしひしと伝わるほどに、涙をその大きな瞳に溜めていた。

寝る間も惜しみ、必死に努力してきたこの数ヶ月や、今まで死ぬもの狂いで頑張ってきたことが、その表情を見ただけで報われたような気がして、こっちまで泣きそうになる。

ありがたい事に、人気が出てきてからは曲を作るプレッシャーがどんどん大きくなるだけだった。

ヒット曲が出れば出るほど、次はその上を求められてしまうもの。

やりたい事ができなくなっていく。

会社の方針、ファンからの期待、追いかける偉大な先輩の後ろ姿、後輩への意地……

もっと、もっと、良い作品を、

もっと、もっと、頑張らないと。

呪文のように。

取り憑かれたように。

Aヌナの一言で、一時だけでもその呪縛から解放された気持ちになるから、不思議だった。