17.冷静と情熱の間 ページ17
何か言い訳をしないといけないと言う焦りがあった。
何故言い訳をしなければならないか、それがどうしてなのか分からないのに……
扉を開けたユンギさんを見るなり、今一番会いたくなかった人だと思ってしまっていた。
( 私は誤解して欲しくないと伝えたかったんだ…… )
今までにない程にユンギさんの表情はとても怖くて、放つ言葉に棘があるように見えた。
私とジョングク君がどうなろうとも別にどうでも良さそうな、そんな冷えきった印象までも残して……尚更追いかける事ができなかった。
仕事中に男の人に抱きしめられる事は、決して褒めらる事ではない。
恋愛なんてまともに経験してこなかったから浮かれてしまったのも事実だけど、だからって許される事ではないんだ。
ましてや、今をときめくBTSのセンターと、いちスタッフの私。
扉を開けたのがユンギさんでなければ、もう少し早く誰かが来てしまっていたら……
もっと大騒ぎになっていた事は安易に想像できる。
自覚が足りなさ過ぎる。
ユンギさんが怒るのも無理はない。
それでもやっぱり、ユンギさんには見られたくなかった。
( なんでかな…… )
わざわざ私のために手伝おうと戻ってきてくれたのに、こんな気まずい感じになってしまって申し訳なく思う。
JK「荷物持つの手伝います。……ヌナ、ごめんね。こんな事になって。」
『いえ、私こそ。』
JK「僕の事も少し考えてみて下さい。さっきは勢いで言ったけど、結構本気だから。」
控え室を出て廊下を歩きながら、送迎車へ向かう途中に、何度も鼻の頭をかきながら私の事は見ずに真っ直ぐ向いて話す彼。
『わ、分かりました。』
なんて言われてもどうしたら良いのでしょうか。
今まさに自覚が足りないと思っていたばかりなのに。
まずもってありえないじゃないですか。
私、スタッフですよ?
そんな照れた仕草で改めて言われて、めちゃくちゃ萌えるんですけど。←
私グクペンですよ?
公私混同も良い所だし、正直まだ信じられないし……
じゃなくて、ユンギさんの事も何故かずっと引っかかってるんですけど。
じゃなくて、スタッフが相手なんて駄目に決まってるじゃないですか。
私、依頼された別会社の人間じゃなくて、専属契約を結んでるBigHitの社員なんですよ、一応。
一応ね。
会社の人間が会社の大黒柱に……
ありえないありえないダメだよダメダメ。
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作者名:kee x他1人 | 作成日時:2018年9月16日 23時