残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ47)

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45　デザートライオン戦5 ページ47

「もっと俺達チームメイトを信じろって！」
何だかもう泣きそうになり、目をゴシゴシと擦った。足の痛みにも、豪炎寺君と円堂君の言葉にも。

チームメイトを信じる。
…技とかそれ以前に信じることなのかもしれない。

再開のホイッスルがまた鳴った。
相手がどこにいるのか把握しながら、無理に飛び出した飛鷹君と一緒に走った。
…？、見える。
妙に心地よい風が吹き抜けた。
相手が…どこに出そうとしてるのかが分かった。あの時と同じ。円堂君と特訓した、あの時と。
多分感覚、体が動いた。
勢い良く足を上げて、風が吹いた。

すると相手がミスしたように胸元にボールが来た。
凄い切り抜けるような音が聞こえた、自分でも耳を塞ぎたくなるほどで。
まるでこの動きを昔から知っていたように。

物凄い風に相手は後ろに倒れた。自分の突然の動きに驚いていると、変な所にボールが行ってしまった。
そして何より、真っ直ぐ大きな地面に亀裂が入っていた。

「な、にこれ…」
「いいぞA！」

そのボールは鬼道君から始まり、一気に虎丸君へと渡った。
凄い虎丸君、あんなに大きい人達を3人も抜いて…！
感心している間も無い中、虎丸君のシュート体勢に驚く事となった。

「ずっと封印してた、俺のシュート！
タイガー…ドライブ！」
相手の押し寄せる砂を切り抜けて、ボールはネットに。私達が苦戦してた技を彼はあっさり破った。

ホイッスル。
上を見上げる。
掲示板は3対2を示していて、
私達の勝利を祝っていた。

「お、終わった〜」
あまりの疲労に倒れ込んだ。
風丸君に笑われながら起こされ、互いに勝利を祝いあった。

「あれがお前の本気か？」
豪炎寺君の悪気のない言葉に虎丸君は反応した。
「でも俺まだ本気出してませんから、先輩。」

何処か生意気さを感じる程度に笑いが込み上げてくる。
「でも何でフットボールフロンティアに出てこなかったんスかね。」
確かに、ここまで実力のある人ならエイリア学園の時も助っ人としてスカウトされても＿
「出られないんですよ。
だって俺、まだ小6ですから。」

小6？小6って…言ったら…ランドセル？
虎丸とランドセルはどうも結びつかなかった。
中2でもなく中1でもなく小6！？
冬花さん曰く、FFIは15歳以下の選手は出られるらしい。
虎丸くんの衝撃で、足の痛みなど忘れていた。
私達を苦しめた熱風が、今は私達を祝福した。