残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ45)

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43　デザートライオン戦3 ページ45

基山君も交代となり、ズンズン攻撃力が削がれて行く。
私も既にかなり暑さに苦しんでいて、前半から出ていたら間違いなく今頃ベンチに座っている。
二人の代わりに立向居君と飛鷹君が投入された。
立向居君？ベンチにはまだ3人残っている。なんでわざわざキーパーを…

ただ何処か監督は不動君をやけに出したがらないように見える。
でも前不動君のチャージを褒めていたから、絶対に嫌ったりはしてないはず。
いやそもそも監督はサッカーにおいて、自分の好き嫌いに左右されない人だ。

隣に一度も会話を交えた事がない人がドンと立つ。
冷や汗が流れ始めるが、チームメイトとして当たり前の行動を心がけた。
「飛鷹君、頑張ろうね。」
「…」

…ホイッスルが鳴って、私はすぐに相手を見つめた。
吹雪君のシュートチャンス、
彼はいつもより上がらない足でシュートを打ち、相手の必殺技に破れた。
「吹雪！」
円堂君の声が響く。また1人、フィールドから立ち去ることを余儀なくされた。

「吹雪君！」
思わず彼の所に駆け寄る。彼は私の技特訓に協力してくれていた、彼の体力をっ…。
こういう時、なんて声を掛けてあげればいいんだろう。迷惑かけてごめん？上手くできなくてごめん？

「お前たちのチームプレイで俺達の攻撃をどこまで凌げるかな。」

汗1つ滲まず息を荒げない相手チームに思わず手を強く握り締める、何も言い返せないことが酷く悔しい。

「円堂君、吹雪君の事任せて。」
「…あぁ、分かった。
よし、豪炎寺と鬼道も戻るぞ。」

肩を貸して彼の腕を引っ張った。
苦しそうに呼吸する横でボソボソと言葉を紡いだ。
「吹雪君、私言われた事まだちゃんとできてないんだ。でも今は吹雪君の分まで頑張るよ。
特訓、付き合ってくれてありがとう。」
ちらっと見ると彼は汗を滲ませて弧を描いた。

後はよろしくねとメガネ君に吹雪君を任せ、フィールドに戻った。
基山君や吹雪君が居なくなり、得点源がはっきり言って無い。
吹雪君の場所には虎丸君が入り、メンバーが補充された。

虎丸君は練習でもキレのある動きを見せてくれた。彼がこの試合を動かさなければかなり苦しいことになる。

私もちゃんとボールを奪って＿

試合が再開されると一気にゴール前まで進む。
「豪炎寺さん！」
間違いなくシュートチャンスだったのに豪炎寺君に渡し、突然チャンスがなくなった。
思わず肩を落とす。

声が交じるほど強い呼吸をしている私を、相手選手は鼻で笑っていた。