残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ5)

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3　雷門中ページ5

今日はスポーツ日和とも言える快晴。
朝日がこの町を照らす。
この景色はテレビで何度も見た。

「き、来てしまった…」

結局私は響木さんの言葉に賛同し、今日はるばるお母さんと共に兵庫から東京まで新幹線に乗って来た。
東京は始めて、観光してみたい。
そんな幼稚な考えを頭を振って一度無くした。
緊張しながら校門をくぐり抜ける。少し錆びついていた。

誰も居ない校庭を見つめながら、集合は体育館だったっけとボソボソと呟く。
大きな体育館をチラッと覗けば、まだ誰も来ていないようで、閑散としていた。

キョロキョロとあたりを見回す。
ここがあの雷門の。何だかここに居るだけでサッカーが上手くなれそうだ。
学校の設備に目を光らせ、思わず壁に触れようとすると、突然ドンドンと力強い足音が聞こえて来た。

…だ、だれ？響木さん？
音が鳴り止んだ。恐る恐る振り返ってみると、見慣れた人が立っていた。
思わずあっ！と叫び、堂々と指を差してしまう。

エイリア襲来について今までしっかり調べてきたので誰かは一目でわかった。

少し跳ねた後ろ髪と丸々とした目が特徴的。
目を大きく見開いて視線をキラキラと向けてくる所に後輩らしさを感じる。

彼は立向居君だった。

向こうも見知らぬ人を見てビックリしているようだった。
なぜ彼のような実力ある人がここに？
いや…立向居君も元雷門の一員だ。
でも出身は九州の方だったはずだ。

互いに沈黙が流れる。
＿とにかく年上である私から名乗るべきだ。
誰かと話せることに越したことはない、何より私が彼と話したい。
あわよくばエイリア学園との戦いの話とか＿
特にもしサッカー関係なら。今のうちに友好関係を築かなければ、間違いなく明るい未来は無い。
プレーにおいても。

「、あっ…えっと＿＿AAです。
あなたも響木さんに呼ばれたんですか？」
本能的に終わったと思った。頭ではスムーズに自己紹介をスラスラと言っている自分が立っているのに。体は立向居君に対して興奮していた。

どうしてこんなに言葉が繋がらないのか。
それ以前にいきなりズカズカと入り込んでくる図々しい女だと思われてないだろうか。
つい下を向いて目をぎゅっと締める。

「立向居勇気です。
Aさんも響木さんに呼ばれたんですね。」
思わず安心して胸を撫で下ろした。
彼はテレビ越しではよく分からなかったが、どこか人懐っこい性格を感じさせた。
非常に好感が持てる、始めて雷門会った人がこの人で良かった。