残念至極十年前の君へ【イナイレ】 (ページ20)

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18　呪われた監督ページ20

「よーし、繋いでいくぞ！」

不動君が後ろから風丸君に対して強くスライディング。意図的に相手を転ばせるようなプレーだ。
_試合だとファウルになりかねない。ひとまず練習で良かった。
かなり近くに居たので、大丈夫と声を掛けようとした。

「いいぞ不動。ナイスチャージだ。」

重力が重くなるように感じた。
監督は今のを見ていなかったのか、スポーツマンシップから外れる行為だ。
そう心の内が唱えても、実際に吐き出す事は出来なかった。

午後の練習もみんなの気持ちがバラバラで、どこか焦っている。と言いつつ私も気の迷いで自分の必殺技が出ないかとガムシャラに走り回っては、変なところで体力を切らしてしまった。

少なからず私もみんなも監督の影響があることは確かだ。

自室に戻って水に溶け切っていないプロテインを飲みながら監督について調べた。
しかし出てくる文字は「見つかりませんでした」の文字だけ。
色んなワードで試してみたが、全く名前が出てこなかった。
日本代表の監督となるような人の情報が全く無いなんて…やっぱり今の監督は何かを隠してる。

…自分の名前を入れてみると、一瞬にして多くの記事がヒットした。
時には女子選手を代表にするのは利点がない、男子に1人囲まれて良いななどの、批判的で希薄な意見が見られ、そっとパソコンを閉じた。つい握り拳を作っていた。

次の日も朝早くから練習を始めても技が出る兆しがなく、ただ一人で突っ走ってしまった。
こんな自分勝手なことやっても、これじゃ何も変わらない。
走り込みも苦しくて、少し遅れながらも急いで付いて行くのが限界だった。

特に体の大きな壁山君は練習について行けず、苦しそうな顔をしていた。

日が暮れだす。空は暗闇を帯びだした。
その暗さに対して円堂君が突然大きな声で話し始めた。
「監督がサッカー部を潰した？」
どうやらマネージャー達は監督について調べていたらしい。私が調べた時はまるでヒットしなかった。サッカー協会と言ってたからかなり機密情報なのかもしれない。
春奈ちゃん達は調べたことを挙げた。

監督が問題を起こしたことで桜咲木中は試合を棄権した事。何より「呪われた監督」であること。

もし私が桜咲木中の部員だったら。
監督の行動で自分たちの活躍を見てもらえなかったら、私は間違いなく監督を恨む。
そしてその話が本当だったら、その人が今の監督なら、私は付いていける自信がない。

私は、監督を信用できない。