魔力を持たない王子 ページ38
「はぅ〜〜〜……」
旧イデアール聖王国国王にして、ユーリのご尊父様・ラージュ陛下がリオネス王城に現れてから早3日。私たちは未だユーリは助けられていない
「正妃の子でありながら魔力無しだった王子…か」
精霊界で読み漁ったラージュ陛下に関する膨大な資料には、陛下の出自から崩御されるまでの過去が細かく記されていた
「ねぇ、シェリー。ラージュ陛下は魔力無しだったのよね?なら、どうして王に即位できたのかしら?」
天上界にあるユーリ専用の宮殿でぐーっと伸びをしながらシェリルに問うと彼女は何かを操作しながら答える
「今、それを調べているんです」
「…なにそれ?」
空中ディスプレイに何かを打ち込んでいるシェリルは何やら真剣な表情でディスプレイを見つめている
「"
「あ、そ……」
精霊国の古代
「ねぇ、それって精霊王家の血を引く人しか使えないんじゃなかったっけ?」
「私は、母方から王家の血を引いていますから使えるんです。…とは言っても、精霊女王の娘として登録した今だからこそ、なのですけれど」
つまり、王家の血を引いていても王に近しい血筋の者しか使えないということか。古代
「これ……」
「見つけたの?」
ソファから浮き上がり、ふわり…とシェリルの隣にゆっくりと座る
天上界の重力は、ブリタニアの6分の1。月と同じである。月なら大気が殆どない為、生きることは不可能だ。が、ここは天上界である。〈
「えーっと…"女神量産計画,,?なにこれ?」
「"女神の力,,と呼ばれる奇蹟の力を王子が宿すことができるか…という実験ですね」
「えっと被験者は……」
被験者の名を見た私たちは、大きく目を見開いて口を閉ざした
「ラージュ・アレクシス・ディオ・フィス・グラン=ソルシエール王子殿下……」
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作者名:アストライアー | 作成日時:2021年10月31日 10時