母から娘へ遺伝したもの ページ33
「で、お前の体が虚弱ってどういうことだ?」
とりあえず落ち着く為に紅茶を新たに入れ、その紅茶を飲みながら〈七つの大罪〉の疑問に答える
「母からの遺伝です」
「母…あぁ、エレオノーラ王妃?」
私の母の名にすぐ思い当たったキング様の言葉にコクンと頷く
「ええ。母はとても虚弱な体質でね。子を産めないと言われていたほどなの。だから、私を産んでからはあまり動けなかったのよ」
直接的な死因は毒だった。けれど、私を産んだことが母の死の遠因となったことも事実。だからこそ、父は私に歪んだ愛情を与えながらその命を奪おうとした
「いつだったかしら……。少しはしゃいだだけで熱を出したり気分が優れなくなったり…そんな日々が続いたの。それで侍医に診てもらったら母の虚弱体質が遺伝してるって言われてね。まだ魔力は発現していなかったから暫く大人しくしていたんだけど…母が亡くなって魔力が発現してからはずっと魔力で体を操っているの」
「なんで…そんなことを……?」
「色々やりたいことあるから。それに…あの時、私の女王即位は確実だったから今更"できません,,は通らなかったのよ」
それに…あの時の私は、女王として生きる道以外知らなかった。女王として民を愛せば、誰かに愛されるかもしれない。女王になったのは、愛されたかったから。そんな下心を持っていたから、国を、民を、娘を、何もかもを守れなかった
「…ユーリ?」
ディアンヌに名を呼ばれ、はっ…と我に返った私は慌てて笑みを取り繕う
「あ…ちょっと考え事をしていただけよ。心配かけてごめんなさい」
あんな下心から女王を務めていたなんて…
「なぁ、お嬢♪」
「んー?」
「お嬢は暫く運動禁止な♪」
「はいはい、分かっ_____えぇぇぇ!?」
ミルクティーを作りながら聞いていた為、危うく聞き漏らすところだった
「なんで!?私、元気じゃない!」
「ユーリは目を離すとすぐに無茶をするからな。我々で見張る必要がありそうだ」
いつもの妖艶な笑み(メリオダス様曰く「胡散臭い笑み」)を浮かべてバンの言葉に同意したマーリンにガックリと肩を落とす
「安静にしろよ」
「魔法の研究でもします」
「それは安静にするって言わねえから」
私とメリオダス様のやりとりに堪えきれない笑い声がいくつも生まれ、部屋に響き渡った昼下がりだった
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作者名:アストライアー | 作成日時:2021年10月31日 10時