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誰かに望まれてきた命 ページ18

「優梨もわたくしも誰かに望まれて生まれてきた命よ。生まれてきたことが間違いなら初めから誰かの元に宿ったりしない」

 "この世界に存在していること。それは、時空を越えて逢いたいと願ってくれた誰かが存在した証……,,

 前世で大好きだった歌のミュージックビデオにあったテロップが脳裏に浮かぶ

「ねぇ、優梨。わたくしが生まれなければ良かったって言ったら…どうする?」

「そんなこと……!!」

 バッとわたくしを見た優梨の顔は涙に濡れ、金と蒼の双眸は月明かりに反射してキラキラと輝いていた

「わたくしも同じ気持ちよ。生まれてきてはならない命なんて一つもないわ。たった一つの、決して誰にも重ならない、大切な命。どんな悪人だって生まれた時は確かに望まれていたはずだわ。だから…そんな風に言わないで」

 絶望を抱いたまま、自ら命を絶った優梨を水鏡越しに何度も見た。その度に胸が潰れそうなほど痛くなった。悲しくて、悔しくて、苦しくて、痛くて。何度も寝台の中で泣いた。だから、優梨が人を信じられるようになった時、とても嬉しかった。また笑えるようになった時、天にも昇る気持ちだった

「優梨、わたくしの大切な親友。名前や立場が変わっても、わたくしはずっとあなたの親友でいるわ」

「紅葉……」

「あなたの命が尽きる、その時が過ぎたとしても、わたくしはあなたを忘れない。あなたが…エルティアナ=リリアーヌという少女が生きた証はわたくしの中に残り続けるわ」

「ほん、とう……?私を…わすれないでいてくれる?」

「もちろん。世界があなたの存在を拒絶しても、わたくしはあなたの存在を肯定し続けるわ」

「ほんとうに…いきてていいの……?うまれてきて…よかったの……?」

「当たり前でしょう。わたくしだけじゃないわ。メリオダスたちもルナたちも、あなたを愛する皆があなたが生まれてきてくれてよかったって言ってくれるわ」

 生まれた瞬間から死へ歩み出す。それは自然の摂理だ。けれど、"消えてなくなる為に生まれてきた,,なんてあり得ない。見えなくても、聞こえなくても、誰もが望まれて生きている。亡くなったとしても、誰かの心の中で生き続ける。悲しみは、愛することの裏返し。絶望は、期待の表れ

「生まれてきてくれてありがとう、優梨」

「紅葉〜〜〜……っ!!」

 泣き噦る優梨をそっと抱きしめたわたくしは、痛む心に見て見ぬふりをしてずっと優梨を撫で続けた

手紙が告げる波乱の幕開け→←生まれてきたことが間違いなんてあり得ない



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作者名:アストライアー | 作成日時:2021年10月31日 10時

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