Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第八章〉 (ページ34)

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女神に会いたい理由ページ34

「エリザベスは悪い子ではない。寧ろ、嫌味なほど良い子だ。…だからこそ、君のような人物を傷つけてしまう」

「…どこまで、知っているの？」

「…母上様が亡くなる直前に渡してくれた日記に、全て書かれていたよ。君とメリオダス殿とエリザベスの関係も、君たちの運命も、全て」

　エドワードの母君は、シルヴィア。彼女は、魔神王唯一の娘でメリオダスの双子の妹に当たる魔神族の姫君。弟のゼルドリスと同じ色彩を持つ、可憐な少女だった。あの魔神王の娘とは思えないくらい穏やかで優しく、〈霊魂の女神(ラ・ヴィータ)〉と呼ばれる私よりもずっと命を慈しんでいた

「母上様は…君を独りにさせてしまったことを生涯悔やんでいたよ。自分は助けてもらったのに何も返せなかった、と。けれど、君を裏切ったメリオダス殿とエリザベスを嫌いにはなれなかった。それを、申し訳なく思っていた」

「…シルヴィアのせいではないし、嫌いになれないからって申し訳なく思う必要なんてないのにね」

　優しさの基準は人によって違う。けれど、私はシルヴィアが優しい子だと思う。レティやメリルローズ様は、私を"哀しいほど繊細,,と言っていたがシルヴィアより繊細な子を、私は知らない

「ねぇ、私がメリオダスとエリザベスのことを憎んでいることにいつ気がついたの？」

　リオネスの王女だった頃も、エドワードと会ったことはない。既に〈アレグレア商会〉の会頭代理として働いていたエドワードの話をアリーやアレンから聞く程度で気にはなっていたが、敢えて会おうとはしなかった。息子であるエドワードが、シルヴィアに瓜二つだと聞いていたから

「君がまだリオネスの王女だった頃に遠目から見たことがあるんだ。メリオダス殿がエリザベスと遊んでいる所を見ていただろう？」

「ええ。…どうしても、気になったから」

　記憶がなくても愛してもらえるエリザベスが羨ましかった。愛する人に護られて、望まれて。多くの人に愛されるエリザベスが羨ましくて、憎かった。理解不能なくらい、一途に人を信じることができるエリザベスが羨ましくて、妬ましくて…眩しかった

「君は、哀れな人だね。どんなに望んでも手に入ることのないものを求めているから、絶望しか抱くことしかできない」

　エドワードの言葉があまりにも的を射ているから思わず苦笑が零れた。あまりにも正論すぎて、弁解の余地すらない