〈女神の愛し子〉の正体 ページ23
「あ…あの……？」
突然拍手をされて私とシェリルは戸惑い、顔を見合わせる。互いの顔は非常に困っていた
「合格です」
「やっぱり、ルーちゃんの目に狂いはなかったね」
とっても楽しそうな〈時空の双女神〉様。しかし、御二方の意図が分からず、更に戸惑う
「おい。お前らだけが分かっても当事者が分かんねーと意味ねぇだろ」
なんだかなんだ、一番の常識人はレオンハルト様なのかもしれない
「そうですね。では、〈女神の愛し子〉の正体をお話しましょう」
「正体？」
「うん。〈女神の愛し子〉はね、魂を二つにして生まれるの。菫とシェリル、二人の場合は250年くらい前に亡くなった王国の姫君の魂を二つにしたもの。クレア王国のリリア姫とエリーゼ姫、って知らない？」
全く聞き覚えのない名に私は首を横に振る。が、隣のシェリルは言葉を選びながら慎重に答える
「250年ほど前…リオネス王国に滅ぼされた国の王女様ですよね？」
「リオネスに？」
「はい。クレア王国最後の国王陛下は、自らの命令に逆らう者は誰であっても斬り捨てる最低最悪の愚王として歴史書に記されています。エリーゼ王女は、クレア王国の第二王女で一つ上のお姉様…リリア王女と共に"クレア王国が誇る絶世の美女,,と呼ばれ、民に愛されていたそうです。ですが、国が滅ぼされる１年ほど前にリリア王女と共に敵国…リオネス王国と通じていたことが知れ渡り、二人の姫君は斬首刑に処されたそうです」
シェリルの言い方を見るに歴史書に書かれていることの全てを信じている訳ではないのだろう
「エリーゼ王女亡き後、お姉様は王女の許可を得て王女の魂を二つに分けました」
「二つに分けなければいけない理由があったのですか？」
「〈女神の愛し子〉は、魂を二つに分けて生まれる存在。それは、一人が精霊王となった場合、もう一人が精霊王の補佐として王を支える為。同じ魂を分けて生まれたが故に思考がよく似ているからこそ、補佐として王を支えることができると考えています」
「あの…王と補佐という関係になった愛し子はいるのですか？」
「人間の国でならあるよ。でも、精霊王になった愛し子はないねぇ」
つまり、私たちが初めての事例となるのだ。良くも悪くも長く語り継がれるであろう、初めての事例に
ゾクッと背中が震えた。あまりの責任の重さに底なし沼に放り込まれたような恐怖を覚えた
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作者名：アストライアー | 作成日時：2021年7月24日 0時
