精霊女王の頼み ページ20
「まどろっこしいのは嫌いなので単刀直入に言いますね。シェリルさん、あなたにはわたくしの跡を継ぎ、精霊を統べる女王になってほしいと思っています」
「え……」
ルナーリア女王様の言葉に大きく目を見開き、思わず固まる
「わたくし共が調べたところ、あなたのお祖母様…エレーヌ様は旧イデアール聖王家の血を正しく引く姫…それも、ヴァルナ公爵家の直系姫でした」
ヴァルナ公爵家。旧イデアール聖王国や精霊について学ぶ時、その名は必ず出てくる
初代イデアール女王・メリルローズ陛下の双子の妹君・リディアーヌ様を始祖とした旧イデアール聖王国〈王家の忠臣〉筆頭の公爵家で旧イデアール聖王家とも3世代に一度くらいの頻度で通婚していた、筆頭公爵家の名に相応しい名家だ
「エレーヌ様の母君は、ラージュ王の御妹姫。王位継承順位は、早逝した第一王子・エルティアナ女王・国家反逆罪で処刑された第二王女・母君に次いで第5位。エレーヌ様直系の孫であるあなたには、我が精霊王家の王位継承権が発生します。そして、わたくしの娘であり、次期女王だったリリアナの死により、現在王位を継承する者は存在しません」
王の重責は分からない。けれど、それがとてつもなく重いものであることは分かる。だからこそ、怖かった
「…あの…私……っ」
「精霊は認めてるよ、君のこと」
「え、そうなのか?」
マカロンを摘んで食べたアルテミス様の言葉にレオンハルト様と菫さんが目を丸くする
「うん。元々、反対派はすっごく多かったんだけどね。"女神の大樹,,がシェリルのことを認めたの。遥か遠い過去も、ずっと先の未来も見通す"女神の大樹,,がシェリルを次期女王として認めたことで精霊は納得したんだよ。何せ、"女神の大樹,,の未来視は私たちのものと同じで的中率100%。良くも悪くも精霊の未来を左右する、絶対的存在だからこそ精霊は大樹の選択を受け入れた」
遠回しにとてつもないプレッシャーをかけられ、更に萎縮する
「私には…無理、です……っ」
「今すぐに答えを出さずとも良いのです。もう暫く、精霊界に滞在して精霊のことを見てから答えを出して頂けませんか?」
「……はい」
ルナーリア女王様の優しげな口調の裏にある威圧に耐えきれず、私はコクンと頷いた
覚悟の甘さを思い知った天使→←メアリー・フォスター公爵令嬢の末路
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作者名:アストライアー | 作成日時:2021年7月24日 0時