→ ページ29
____何だ、結局諦めたのか。
そう言おうとすると、自分の背後からグチャッと、肉を抉るような音が聞こえ、その直後、呻き声と何かが落ちる音が聞こえた。
驚いて振り返ると、げどちゃんの胸から赤黒く光るナニカが、突き出ていた。
それは、紛れも無い包丁で、呻き声をあげたのは、げどちゃんなのだった。
衝撃で、一瞬思考が止まりかけたが、すぐに我に帰りげどちゃんに駆け寄る。
「げどちゃんっ！？嘘やん！、なんでっ！」
俺がそう叫ぶと、げどちゃんは苦痛の表情で、
「……まん、ちゃ、ん…、逃げ、て……」
「っ、！嫌やっ！げどちゃん、死なんといてやっ！！」
だが、そう言う間にも、げどちゃんの顔は大量に出血し続けているせいで、青白くなっていく。
だが、げどちゃんはにっこり笑って、
「…死ぬ時も、マンちゃんの側に居られて、嬉しかったよ……ありがと、」
と、途切れ途切れに言った。
そして、
「っ、かはっ、！」
限界が来たのか、大量に吐血した後、静かに息を引き取った。
「……げどちゃんっ、」
俺は、涙を手の甲で乱暴に拭うと、目の前に居る、ゾムの形をした紅い目のナニカに向かった。
もうすっかり、酔いは覚めていた。
・
・
・
数分後、二人分の死骸が、部屋に並び合うようにして置かれていた。
オスマンは気付かなかったのだ。
電話を受ける前から、もう既に致死量を遥かに超える量の睡眠薬が、自分の飲み物に含まれていた事を。
電気が消えた、暗い部屋の中で、紅い光が二つ灯った。
「五、六人目」
そう言うと、心底楽しそうに嗤った。
オスマンside オワリ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タユ(プロフ) - コメントありがとうございます！え、あ、いや、嬉しいです（照）読んでいただいてありがとうございました！これからも更新を気長に待っていただければ嬉しいです！ (2019年8月31日 5時) (
レス) id: 2a27eba7c0 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 作者さんプロですわ (2019年8月30日 22時) (レス) id: 171ab61c8e (このIDを非表示/違反報告)
タユ(プロフ) - コメントありがとうございます！私も、ハッピーエンドにしようかなって思ってます！更新を気長に待っていただけると嬉しいです！ (2019年5月28日 7時) (レス) id: 938d9ee022 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 奇病パロってなんかもっと怖いものかと思ってたけど、普通に読めました！感動系ですね… 私もハッピーエンドを希望します（バットエンドが無理なので…）これからも頑張ってください！ (2019年5月28日 6時) (レス) id: 30912b7c74 (このIDを非表示/違反報告)
タユ(プロフ) - コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！もし、コメントでハッピーエンドが多かったら、ハッピーエンドにします！ (2019年5月14日 6時) (レス) id: 00e1697dfd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：タユ | 作成日時：2019年3月14日 19時
