5 ページ5
暫くして、先輩がいるという部屋に案内された。
ドアの前で、深呼吸をしてからドアを開けてもらった。するとそこには、
包帯がぐるぐる巻きの状態で、顔に布を掛けられた先輩がいた。
先輩のその姿を見ると、今まで堪えていた何かが、目から流れ出た。
「……っ、酷いじゃないですか。先輩、今日の休み、楽しみにしてたのにっ、何でっ…！」
____死んじゃったんですか。
でも、その言葉を言い切る前に、ふと、ずっと前に先輩が話してくれた、死者と陽炎の話を思い出した。
____ショッピ、死者と陽炎の話って、知っとるか？
『？……なんすか、それ、』
____特定の人が死んだときに、その横に、その人によく似た陽炎が立ってるらしいで、っていう話や。そんでな、その陽炎が見てるところで……
これまでは、先輩の言った話の意味がよく分からなかったけど、さっき、先輩が轢かれたあとに、横に立っていた黒い影は、先輩の陽炎だったのかと、今だから思った。
でも、その話の先は、黒く靄が掛かったかのように、思い出せなかった。
取り敢えず帰ろうと思い、付き添ってくれた看護師さんに、お礼を伝えた後、家族にその先を任せて帰ってきた。
元はといえば、俺は先輩の家族からすれば、完全なる部外者だったのだ。そもそも、霊安室に入れてもらえたのが不思議なくらいだった。
先輩は、普段は『家族は第一コミュニティに過ぎない』とか言ってるけど、ちゃんと家族の人、泣いてくれてるじゃん、と、内心少し先輩に嫉妬した。
家に帰ってきたら、何だか何もやる気が起きなく
て、ベッドに倒れ込んだ。
そしたら、自分の想像より疲れていたらしく、直ぐに意識はフェードアウトしていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タユ(プロフ) - コメントありがとうございます！やっぱり気付いちゃいますよね（笑）読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m (2019年11月17日 14時) (
レス) id: 411f2f68cb (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - ふふふ、カゲプロ厨の私には初めの日付から予測してたで、そして今回のも最高でした。好きです。 (2019年11月16日 1時) (レス) id: f24a827419 (このIDを非表示/違反報告)
タユ(プロフ) - 吉山田きのこさん» コメ返遅れてすみません！そして、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！カゲロウデイズって本当に曲も小説も感動しますよね、、読んでいただいてありがとうございましたm(_ _)m (2019年8月1日 16時) (レス) id: 2a27eba7c0 (このIDを非表示/違反報告)
吉山田きのこ(プロフ) - ああああああ辛い、辛すぎる.....目から塩水がああ...とても素敵でした...文章も読みやすかったです。 (2019年7月24日 22時) (レス) id: d8304cf352 (このIDを非表示/違反報告)
タユ(プロフ) - ﾄｼさん» コメントありがとうございます！私などの作品に二人も泣いてくださっただと……！本当に読んでいただき、ありがとうございました！これからもタユをよろしくお願いします（誰だよ） (2019年7月22日 20時) (レス) id: 2a27eba7c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：タユ | 作成日時：2019年7月14日 15時
