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稽古場から出てきた晴翔さんに笑顔で挨拶すると、ギョッとした顔で見られた
貴方「？私の顔に何か付いてますか？」
晴翔「…ちょっとこっち来て」
晴翔さんは私の手を掴んで稽古場とは反対の方に歩き出した
え？え？
今から稽古だよね？？
訳が分からず引かれるままついていくと人気のないところで晴翔さんが急に止まった
いきなりだったので顔面を思いっきり晴翔さんの背中にぶつけた
貴方「べぶしっ！〜…っ！急に止まらないでくださいよ〜…」
晴翔「…で、曲できたわけ？」
貴方「！…あ、ええと…今まで作ったものから選ぼうかな〜と思いまして…」
晴翔「…昨日歌ってたのは？」
貴方「え…」
き、聞かれてたの！？
うそっ…めっちゃ恥ずいんだけど…
貴方「あれは…全然内容違うし、駄作ですね」
晴翔「本当だよね。別れの曲とか…何考えてるんだよ…」
晴翔さんは私に背を向けているので表情は分からない
でも、微かに震えてる声
貴方「晴翔さん…？」
私が名前を呼ぶと晴翔さんがこちらに振り返った
貴方「え…」
なぜか彼は泣きそうな、いつものとは違う表情をしていた
晴翔「目…赤い。昨日泣いた？」
そう言って晴翔さんは私の目元を親指でなぞる
貴方「…泣いてません」
晴翔「あの歌は今の気持ちなんでしょ？」
貴方「…違います。あれは適当に…」
なんで…
なんでこんな泣きそうになってんの私…
晴翔「最近間の取り方良くなった…沢山練習したんでしょ？あいつらに見せるために」
貴方「皆んなは…関係ないです…」
晴翔「ここでも大丈夫ってあいつらに思ってもらいたかったんじゃないの？」
貴方「…違っ…」
堪えていたはずの涙が耐えれず一粒溢れた
晴翔「……泣くくらい大変だったんだよね？」
一度出た涙はもう堪えられずどんどん溢れてくる
貴方「なんで…晴翔さんがそんなことっ…！」
耐えれず涙声で言うと、いきなりフワリと晴翔さんに抱きしめられた
貴方「……！なっ…」
晴翔「無理して笑っても分かるし…そんな痛々しい顔しないでよ…バカ」
貴方「…何やってるんですか…バカは晴翔さんですよ」
晴翔「うん」
貴方「稽古始まってますよ…晴翔さんのせいですからね」
晴翔「うん」
貴方「普段腹黒いのにずるいです」
晴翔「腹黒いってのはなんなわけ？」
そこは聞き逃せなかったようだ
そんな晴翔さんが何だか可笑しくて小さく笑ってしまった
晴翔「…やっと本当に笑った…稽古行くよバカ」
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作者名：カリン | 作成日時：2017年9月7日 21時
