サボり1 ページ3
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本来ならば、学校に居る筈の時間帯に制服を着た一人の少女が土手に座って川を眺めていた
虚ろな目をした彼女は何があっても動揺することは無い
例え、川に人が流されていたとしても・・・
川を眺めている少女の前を、一人の青年が流されていく
が、少女は何事も無かったかの様に眺めている
少女の前を通り過ぎる際、お腹に両手を乗せてオフィーリアの如く流されていた青年が、勢い良く目を開いて立ち上がる
通常の人間ならビビって一歩退く所だが、少女は何の反応も示さない
先刻から瞬きすらしない少女を見つけ目を瞬かせる
青年は川から上がると少女の元にそっと近付き声を掛けた
「おや、こんな時間に可憐なお嬢さんが・・・」
其の言葉にすら無反応の少女
自然な流れで少女の隣に腰を降ろすと、問うた
「君は、何故この時間に此処に居るのかい?」
「・・・・・・・・・」
「学校に行かなくて良いのかい?」
「・・・・・・・・・」
青年の問い掛けにも無反応な少女
「ふぅむ・・・これは困った・・・」
と云い乍らも少しも困った表情をせずに笑う青年
暫しの間沈黙が続く
突然、沈黙を破るかのように怒号が聞こえた
「おや、もう来てしまったのかい・・・ちぇっ・・・」
青年は立ち上がり、うんともすんとも云わない少女に向かって云う
「何があったのかは知らないけど、ちゃんと学校には行くのだよ?
此処に居て市警に捕まったら元も子も無いからね?」
其の言葉にやっと、少女は顔を青年に向けた
「・・・誰・・・?」
今気付いたかのように不思議そうに見る少女の姿に苦笑をし乍ら青年は答える
「私かい?私は・・・」
そこで区切ると、彼女の方を見て微笑んで云う
「太宰治・・・」
「太宰・・・治・・・?」
鸚鵡返しに少女は聞く
「そう、私の名前は太宰治
また、会おうね・・・
──────────────風希Aちゃん?」
少女は何の疑問も持たずに頷き青年を見送る
「こぉらァァァ〜!太宰ィィィィ!貴様はァァァ〜!」
「うぇぇぇ、今日は何でこんなにも直ぐに見つかるのかぁぁぁい?」
態とらしく溜息を零し乍らも、叫ぶ青年と気まずそうに佇む少年の元へとゆっくりと歩いていった
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ゆちよきし(プロフ) - 夜雨ナナトさん» そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2020年2月18日 4時) (レス) id: 46d1d00e6e (このIDを非表示/違反報告)
夜雨ナナト - うおっとぉ!なんかめっさ面白そうなの見つけたよ!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年1月19日 21時) (レス) id: e95b77a21e (このIDを非表示/違反報告)
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