六花の勇者【その花…徒花につき】 (ページ12)

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六花集結1 ページ12

それはAが今まで働いて貯めていたお金だ

A「そのお金を寄付します。貧しい方たちのために使ってください」

トウロウ「...もう戻らないつもりですか？」

A「...。戻れる保証はないですから」

トウロウ「...それでは受け取れません」

A「...！」

トウロウ「必ず戻るつもりで行きなさい。...それまでこれは...預かっておきます」

その言葉にAは返事をしなかった
ただぎこちなく笑顔を見せ、そして目を伏せた

Aが薬の神殿を出発するのと入れ替わりで、ある男が神殿にやってきたが、それをAが知るのはだいぶあとの事だ

...
.....

旅立ってから凶魔に襲われる村人を助け、襲ってくる凶魔を殲滅しながら進む
凶魔は魔哭領に近づけば近づくほど多くなっていき、強さも増していく

結局魔哭領に着くまで戦闘続きで、六花の勇者と思わしき人には会えなかった

A「...ついてない」

来る途中で煙のあがる砦を見たが寄り道をし過ぎたため、今回は砦を無視し目的地に向かう
もし必要なら誰かが行くだろう

六花の勇者や聖者と言えども万能じゃない
全てを救うことは出来ないのだ
それでも.....モーラさんなんかは助けに行くのだろう

私はモーラさんのようにはなれない
だからトウロウ様は私を協力者に選んだんだろう
私なら.....切り捨てるべきものを選別できるから

A「...着いたはいいけど...見事に何も無いな...」

魔哭領の入口部分に広がる森に入ると、神殿らしき大きな建物が見える

A「...とりあえず行ってみるか」

神殿らしきものを目指し走り出す...
もう少しで神殿というところで、少しずつ辺りに霧が出始めた

A「.....なに？」

よく分からない嫌な予感がして急いで神殿の中に駆け込むと...

中には5人の人間がいた

一人は
自称地上最強の男、アドレット・マイヤー

二人目は
ピエナ王国の第一王女、ナッシュタニア

三人目は
ピエナ王国軍黒角騎士団随一の騎士、ゴルドフ・アウオーラ

四人目は
歴代最強の沼の聖者、チャモ・ロッソ

五人目は
六花候補ごろしで追われているはずのフレミー・スピッドロウ

神殿の中は一触即発な状況になっていた
それをかろうじて止めているのは史上最強の男アドレット・マイヤーだ

アド「待て！フレミーは仲間だ。六花の紋章だってある」

チャモ「そんなの関係ないよ」

チャモは今にも手に持った猫じゃらしを口の中に入れそうだ

A「チャモ待って！」