東京リベンジャーズ【さだめられた運命の中で】3

波乱の新隊長任命式 ページ2

その日から…
徐々に場地さんとのやり取りは減っていき
そしてついに場地さんからの返信がなくなった

隆から聞いた話では
内輪揉めを起こし
集会をしばらく出禁になったらしい


そんな時
『武道くんが戻ってきた』



戻ってきたといってもどこかに行っていた訳じゃない
私の体感の話だ

ある日の集会で
パーちんとペーやんの参番隊に
新しい隊長が任命された

その男はメビウスのメンバーだった男で
総長のマイキー君に敬意を払わない
ふてぶてしい態度をとっていた

その態度に東卍メンバー達は野次を飛ばしたが
ドラケンが一喝し
マイキーが隊長決定を宣言する

そうまでされれば内心なんと思っていようと
マイキー君に対して何かを言える人はいないだろう
実際隊長クラスのメンバーだって
納得はしていないが総長の決定に従うといった風だった

なのに武道君だけが、その日…
新参番隊の隊長に任命された稀咲鉄太を殴った

その瞳には強い意志と固い決意が宿り
ふるえる拳を握りしめ稀咲の前に立っていた

その武道の姿がやっぱり年相応には見えなくて
そのなりふり構わない姿が怖かった

でも…
1番怖かったのは
去り際の稀咲の視線が
離れた所で集会の様子を見ていた私とエマちゃんに
向けられていたことだ

まるで品定めするかのような
その視線に悪寒にも似た恐怖が警鐘を鳴らす

そしてその日の集会は
険悪な雰囲気の中
乱入してきた場地さんが
東京卍會の脱退とバルハラへの移動を
宣言する波乱の展開で幕を閉じた

そんな波乱のどさくさに紛れ
稀咲に殴られて気絶した武道と
それに付き添うマイキーを残し
集会に集まったメンバーはその場を後にする

送るというドラケン君の言葉に
エマちゃんは顔を綻ばせ嬉しそうに帰って行った

Aも帰ろうと振り返ると
どこかソワソワとしたような隆がいる

A「そんなに気になるなら見てくれば？」

隆「いや、そうじゃねぇけど」

A「じゃあ、今帰って安眠出来そう？」

想像したのか、しばらく難しい顔をして考えていた隆は
申し訳なさそうにAに謝った

隆「…ん。わるい、A。ちょっとトイレ行ってくるわ」

A「はいはい、トイレね。わかった」

なにを言い訳する必要があるのか分からないが
素直にならず駆け出していく隆を見送り
Aは苦笑いをこぼした

そうして隆の帰りを待つ間
Aも知らず知らず武道のことを考えてしまう

何が彼を突き動かすのか
まるで別人みたいな時があるのは何故なのか

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