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「上条ちゃんも言い返しなよ」
「黙っておくのが最善だと思ってね」
「俺が来なかったらどうしてたの？」
「チャイムが鳴るまで待つだけだよ」
私の手を掴んだままユウキちゃんはズンズン廊下を進む。
その最中に交わされる言葉の応酬。
ユウキちゃんの声の刺々しさから機嫌は麗しくないようだ。
「ゴメン。俺のせいで」
「ユウキちゃん関連だけど、ユウキちゃんのせいではないよ」
「…俺から離れる？」
私を捉えた、縋るような寂しげな目。
あぁ、きっとこれまでもこういう目に遭った女友達がいて、そして離れていってしまった事があったのだろう。
でもさ。
「何で？」
「何でって…」
「こんな事で距離を取るなら、とっくに離れてるよ」
「そっか…」
「そうね」
目を細めたユウキちゃんの表情は柔らかく、ホッとしたように眉を下げた。
「して、ユウキちゃんはどうしてあそこに来たの？」
「うちの部員が、見学に良く来てる女子達が剣呑な雰囲気で上条ちゃんと一緒だったって教えてくれたんだよ」
「わざわざ来てくれてありがとう。助かったよ〜。今度オレンジジュース奢るね」
「…上条ちゃん」
「ん？」
「ありがとう…」
ギュッと強く握られた手に、私も応えるように力を込めた。
ー
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作者名：速水 | 作成日時：2016年6月17日 18時
