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「オメデトウ」


ニヤニヤ顔の千世に対してあたしは眉間にシワを寄せた渋い顔。


「…何におめでとう?」

「恋の茨道突入オメデトウ。まさか競争率半端ない柳田の道に進むとは思わなかった」

「デスヨネ〜…」


あたしも心からそう思う。
柳田くん目当ての子達を見守る側だったのに、そっち側に参加する事になるなんて夢にも思わなかった。


「あんたもなかなかの猛者だね」

「恋とは知らず知らずの内に始まっているもので、己の意思とは無関係なのです」

「何それ?」

「昨日読んだ小説の一文」

「先生、恋に恋するのは高校生が限度だと思います!」

「恋に、じゃなくて、柳田くんに、恋してるんだよ」

「うわ、言った。言い切った」

「言うよ、事実だもん」


ブスッとしたあたしに、千世が揶揄いすぎたと笑いながら謝って来たけれど別に怒ってはいない。

だってこの恋は既に走り出しているのだ。
ネットで柳田くんを検索して動画を観て悶えたり、画像を保存してみたり、プロフィールを読み込んでみたり、もうあたしの脳は「柳田くんが好きだ!」と訴えているのだ。
走り出した想いは止められない。


「あ、噂をすれば柳田だ」

「ふうん…」


どれどれと目を向けて動向を観察。
キョロキョロしているから座る席を探していると思いきや、友達らしき人の所に鞄を置いても尚キョロキョロ。
誰かを探してるのかな?とぼんやり思っていると、こちらを向いた柳田くんと目が合った…と思う。


「ねえ、A。柳田、こっち来てない?」

「目が合った、と思う」

「マジ?」

「でも都合のいい勘違いかも…」


コンサートでアーティストと目が合った!という幸せ勘違いと同じかも…。
なんて考えていたけれど、柳田くんは間違いなくこちらに歩いて来ている。
いやいや、早まるな。
ここいらの人に用事があるだけかもしれないじゃないか。


「柳泉」

「!」


まさかの、あたしに用だったのか!という驚きと、初めて名前を呼ばれた歓喜であたしの頭の中は一瞬でプチパニック。


「昨日はありがとう」

「う、うん…!」

「じゃあ」

「うん…」


クール。やっぱりクールだよ、柳田くん。
必要以上の事は話さないってかい?
相変わらず話題はないけれどさ。
あ、あたしが話し掛ければいいだけか。
でも、共通の話題なんて…ないな。


「あぁ、前途多難過ぎ…」


何だか、あたしはとんでもない人に恋をしてしまったようだ。


「まあ頑張れ。恋する乙女」

「う〜ん…」


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リッカロッカ(プロフ) - 花蓮さん» コメントありがとうございます!もう良過ぎです!(笑) (2015年10月25日 13時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - とっても面白いです!良いですよね〜柳田君 (2015年10月25日 12時) (レス) id: b02621fbce (このIDを非表示/違反報告)
リッカロッカ(プロフ) - ゆんさん» 速水です。コメントありがとうございます!大好きと言って頂けてもう感激です!続編もまとまったら掲載しようと思います! (2015年10月24日 23時) (レス) id: b15315e85f (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 速水さんが書くお話全て大好きです。個人的には、この二人の今後が読みたいと思いました。そのくらいハマってしまいました(*´ω`*) (2015年10月24日 21時) (レス) id: 23a8fe0fb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:速水 | 作成日時:2015年10月10日 19時

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