Triangle【名前固定オリジナル】

〜猫を被る少年は魔法を夢と錯覚する〜 ページ18

中に入って、スマホを触りながら待っていると“蒼士〜！！”と呼ぶ声が聞こえた。
誰を呼んでるんだろう、ここに俺たちしかいないからやっぱりこの男の人だろうか。
そんなことを考えながら声が聞こえた方を向くと2人の女の人がこっちへ歩いて来ていた。
隣の男の人は女の人に気づいた瞬間笑顔になって手を振り始めた。

え……もしかしてこの人って女好き？
マジで……？と思ってたのもつかの間、2人は楽しそうに話しながらいちゃついていた。
ああ……なんだ……ただのカップルか……
2人は2人の世界観に入って俺ともう1人の女の人が空気になっている状態だった。

「スマホだ……」

さっき俺と一緒に空気になっていた人が呟いたのに気づいて、皆その人を見る。
え……目がすごいキラキラしてんだけど……
それ初めて見た人の反応じゃん……

「あぁもうかわいいよ〜！どうやったらそんなかわいくなんの⁉」
「......俺はお前のほうがかわいいと思うんだけど......」
という言葉から可愛い合戦が始まり、俺がスマホを触っていたらいつのまにか自己紹介をする流れになっていた。
さっきいちゃついていた2人の男の方が白夜蒼士、女の方が猫崎麻由、もう1人の女の人が花園涙と言うらしい。

「……じゃあ、そろそろ始めよっか！」
麻由という人が放ったその一言で蒼士という人は部屋の外へ出て行った。

……え？何を？何を始めるの？
俺なんも聞いてないんだけど。
よく見たら涙っていう人も驚いてんだけど。

ガチャ、と音がして部屋に入って来たのは蒼士っていう人だった。
「あ、蒼士戻ってきたね！じゃあ始めようか！まず、涙ちゃんと丞君はどんな魔法が使えるのかわかんないんだよね？」

……え？魔法？マジで⁉魔法⁉
え………夢じゃん。これ完璧夢じゃん！
もう直ぐ目が覚めて現実を見るのがオチだろ……

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