君だけに歌うよ vol.8 〜SJ：Yesung〜

見つからない -ﾘｮｳｸside- ページ40

ｲﾄｩｸ「意識が戻るかどうかも分からないんだ…。戻ったとしても、歩行障害、記憶障害、言語障害……いくつかの障害が残るかもしれない。」
　
　
トゥギヒョンが話した内容は、
想像よりはるかに辛いものだった。
　
　
ｲﾄｩｸ「完治は…難しいそうだ……。」
　
　
何度も耳を疑った。
　
　
それでもその表情を見れば、
聞き間違いではないと分かる。
　
　
ﾋﾁｮﾙ「あいつは、ジョンウンは……」
　
ｲﾄｩｸ「僕ら以上にショックだったと思う…でもそれを聞いても、生きててくれてありがとうって言って…微笑んでいたよ。」
　
　
　
　

僕はヒョンの着替えを持って、病院に向かっていた。
　
何もできないかもしれないけれど、
大好きな二人の力になりたかった。
　
　
　
病室の前に来ると、話し声。
　
　
足が震える。
　
　
　
　
ｲｪｿﾝ「ごめんな…ごめん……本当にごめん……。」
　
　
　
……。
　
　
なんて声をかければいいのか、
考えても考えても出てこない。
　
求めた言葉は出てこないまま、
無情にも時間だけが過ぎていく……
　
心を決めて、僕はゆっくりと扉を開けた。
　
　
　
ベッドで眠るAの隣で、しっかりと手を握るヒョン。
　
　
元が何色なのか分からないほどに
血で染まってしまった服を着て。
　
　
ｲｪｿﾝ「リョウク、来てくれてありがとう。」
　
　
変わらない…
だけど儚げな微笑みで迎えてくれる。


僕はやっぱり言葉が出てこなかった。

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