red ページ2
宮館涼太
「・・・よろしくお願いします」
番組でちょっとしたダンスを踊るのに、外注したダンサーのアシスタントに康二の彼女がいた。
梅原さんの舞台で会った事があるから気さくに声を掛けようかと思ったけど、メインのダンサーさんのアシスタントの一人で来てるのに俺が話しかけてしまうと彼女の立場が微妙になるかと思い、無難な挨拶にした。
彼女もさも初めましてかのように振る舞っていて、この対応で正解だったとホッとした。
アシスタントとして来てるけど、メインダンサーの見学みたいな感じで、一生懸命ダンサーの動きを見つめる康二の彼女を何気なく見てたら、ちょっと前に康二とご飯に行った時、マネージャーに彼女との付き合いに釘を刺されたらしく、少し悩んでいたのを思い出す。
プロポーズしたら断られたって聞いて、何考えてるんだと呆気に取られたけど、話を聞くと、どっちもの言いたい事はなんとなく理解できてしまい、良いアドバイスもできなかった。
アイドルというイメージ商品が見せて良い現実はどのラインまでか。
いろんな場面でいつも悩む。
商品なんて言ったら身も蓋もないけど、パフォーマンスだけで売れてるなんて思ってないし、求められるアイドル像が、俺にも康二にもある。
プロポーズとか結婚とか、年齢的に言えば決して早いわけじゃないけど、この仕事をしているとどうしてもイメージが浮かばないし、そんな風に思える人にも出会ってない。
ヒナちゃんは、ここに来るまでに苦労した康二が、結婚を想像できる女性って事なんだろうけど、この子がどんな子か知らないから、どうしたって一回り近く年の離れた妹のような感覚にしか見えない。
要は康二がロリコンだって話になるんだけど、そんな身も蓋もない言い方すると彼女に失礼だとは思う。
この間ラウールがたまたまヒナちゃんに会ったと言ってて、どんな子だったか聞くと「二人並んでると、どう考えても康二くんはロリコンにしか見えない」との解答だった。
だけど、話してみると思ったより大人だったとも言っていた。
2人が並んでるところを俺も見た事はあるけど、申し訳ないが決して恋人には見えなかった。
とは言え、俺は舞台での彼女も見ているから、見た目の容姿だけでは彼女の魅力はわからないとも思う。
そんな事を考えてると名前が呼ばれた。
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作者名:あお | 作成日時:2023年6月30日 17時