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咄嗟にAに自分の羽織を被せた。
小柄なAは、俺の羽織にすっぽり覆われる。
『…不死川さん!?』
Aが羽織の下で叫んでいるが、俺は気にせず抱き上げる。
そして走り出した。
風と雲を見る限り、雨はしばらく止みそうにない。
あいにくこの辺りには雨宿りできるような場所もないし、Aの家はまだ遠い。
実「黙ってろォ。とりあえず俺の家に行く。」
鬼殺隊の柱である俺は、走ると常人には出せないスピードが出る。
Aにはもちろん鬼殺隊の事は何一つ言っていないし、今後も言うつもりはない。
なんでか分からないが、
こいつには何も知らないでいて欲しかった。
鬼も、鬼殺隊も、全部。
だから、一瞬本気で走る事を躊躇した。
しかし、頭から被せた羽織のせいで何も見えていないAに自分のスピードなんて分かるはずが無い事に気付き、俺は全力で走った。
俺の家に着く。
玄関でAを下ろし、羽織とる。
俺はだいぶ濡れたが、羽織が結構仕事をして、Aはあまり濡れていなかった。
Aは何が起きたか分からない様な顔をして、
『不死川さんのお家、こんなに近かったんですね…』
…まぁ、だいぶ本気で走ったからな。
そして、俺の姿を見てはっと表情を変える。
『不死川さん!?…びしょびしょじゃないですかぁ!』
珍しく本気で焦った様なA。
実「まあ、雨の中走ったらそりゃあ濡れるだろォ」
『…でも!私なんて本当に置いて行って下さったら良かったのに…』
実「…家に着いたんだからもういいだろォ。俺は風呂に入ってくるから、お前は部屋ん中で待ってろォ。この雨しばらく止まねぇぞ…」
そう言って2人で外を見る。
相変わらず地面を叩きつけている雨。
何も言い返せずに俯くAを無理やり部屋に入れ、俺は風呂に向かう。
すると、Aに呼び止められた。
『あの…もうすぐ夕飯時ですし、お礼と言ってはなんですが、夜ご飯、作ってもよろしいですか?』
おずおずとそう告げるA。
もうそんな時間か。
今日は隠も居ないしな。
素直にありがたがった。
実「…頼むわァ」
俺は、今度こそ本当に、風呂場に向かった。
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ロロ天Runa - ヤバッ、、、!最高ですね、はい、更新がんばってくださいね!!応援してます!! (2021年3月8日 20時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - なしなつさん» 私も実弥さん最推しです!! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
なしなつ - ハァァァァ尊い…!!不死川好きだわぁ… (2019年10月31日 20時) (レス) id: 737edd5ad9 (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!好きだと言っていただけて、嬉しいです! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
月 - この作品が好きです。頑張ってください! (2019年10月23日 22時) (レス) id: 72108a1f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurirol0305 | 作成日時:2019年9月29日 23時