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私の腕をそっと掴む手。
別に力は入っていないのだけど、私はその手を振り払えなかった。
だって、そんな権利、私には無いから。
屋敷に連れてこられ、綺麗な広い庭を見ながら昔を思い出していた。
____昔は、とっても楽しかったのに……
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私は月雪家の長女として生まれた。
厳格だけど、仕事が出来て、誰よりも家族の事を大切にしているお父様。
病弱でよく寝込んでいたけど、優しくてとっても綺麗なお母様。
月雪家の跡継ぎとしての才能を十分に持って、幼いながらに立派な弟、零。
お屋敷に務める皆。
そんな沢山の家族に囲まれて、私は幸せだった。
零はお父様とよく出かけていた。
仕事を見て覚えさせるんですって。
その事を嬉しそうに話してくれる零はとても可愛かった。
私、いつも忙しそうな皆のお手伝いをしたくて、お仕事している姿がカッコよくて、
『お手伝いします!』
なんて言って、
「お、お嬢様?困ります…綺麗な手を怪我されたりしたら…」
困らせていたっけ。
するとお母様が、
「やらせてやってくれないかしら…この子、貴方たちに憧れているのよ。」
そう言ってくれた。
ある日、お母様にもらったシンデレラの本を読んで、凄く憧れた。
『私にも王子様、現れてくれますか?』
お母様にそう訪ねると、
「そうね…きっと現れてくれるわ…」
そう笑った。
『私、お母様みたいに綺麗になりたいです!』
そう言うと、
「Aに好きな人が出来たら、もっと可愛くなれるわ。…その人が、王子様だと良いわね…」
そう言って頭を撫でてくれた。
そんな暖かい人に囲まれて、私は17まで育った。
『今日は何を作りましょうか…』
「そうですね…」
もうその頃には、私がお手伝いすることが当たり前になっていて、家事、特に料理は大の得意になっていた。
「私、お嬢様に出会えて良かったです。」
『何を言っているんですか。こちらこそ、です。』
そうな風に笑いあった晩だった。
屋敷が血の海に変わったのは。
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ロロ天Runa - ヤバッ、、、!最高ですね、はい、更新がんばってくださいね!!応援してます!! (2021年3月8日 20時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - なしなつさん» 私も実弥さん最推しです!! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
なしなつ - ハァァァァ尊い…!!不死川好きだわぁ… (2019年10月31日 20時) (レス) id: 737edd5ad9 (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!好きだと言っていただけて、嬉しいです! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
月 - この作品が好きです。頑張ってください! (2019年10月23日 22時) (レス) id: 72108a1f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurirol0305 | 作成日時:2019年9月29日 23時