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俺はAの目をじっと見つめる。
実「甘露寺と一緒に俺が女といる所を見たらしいが、ありゃ誤解だ。信じてもらえるか分かんねぇけど、仕事の上司に頼まれたんだ。あの女、怪しいところが多いから調べてくれってなァ。だから、あれは浮気じゃねェ。」
別に間違ったことは言っていない。はず。
『…そう、ですか。』
今だに顔を上げないA。
そりゃそうだ。こんな言い訳、信じてもらえるはずがない。
俺はギリ、と自分の拳を握りしめて、
実「だからァ!そもそも俺が好きなのはお前だけだし、お前以外に興味もねぇ!俺はあんな品のねぇ女は嫌いだ!今まで会えなかった時間も、ずっとしんどかったんだよ!会いてぇ、会いてぇって!こんなにお前のこと好きなのに、浮気なんてする訳ねぇだろォ!!」
一息にそう言った。
すると、Aはポカン、とした顔をして、それからクスクス笑いだした。
俺は訳が分からず、はぁ?と言うと、
『そんなに必死にならなくても、分かりましたよ。…私も実弥さんのこと大好きですから、一言「信じろ」と言ってくだされば信じます。』
頬を染めてまた笑うA。
実「怒ってねぇのかァ…?」
恐る恐るそう問う。
『そりゃあ怒りましたよ!帰ってきたらどうしてやろうかと思ってたんです。だけど、たっくさん“愛の言葉”を言ってくださるんですもの、許すしか無いでしょう。』
そう言って俺をチラリと見る。
その唇は勝ち誇ったように上がっている。
俺はガキみてぇに焦りまくっていた自分と、思わず言ってしまった“愛の言葉”と言うやつに、今更恥ずかしくなって頭を抱える。
完全にAの手の上で転がされていた。
実「お前もやるようになったなァ…」
未だクスクス笑っているAにそう言ってやると、
『あれ?実弥さん、私のこといい子ちゃんだと思ってました?実はイタズラとかして人を困らせるの大好きな悪い子ちゃんなんですよ?』
気を付けて下さいね〜なんて言うAの笑顔はやっぱりどこか幼い。
立ち振る舞いは大人以上、なんて思ってたけど、実はイタズラ好きの、ただの年相応の少女なんだと、少し安心する。
俺は我慢が解けて、Aを思わず抱きしめそうになる、が、既のところで止まる。
…Aに香水の匂いが着いてしまう。
それは非常にまずい。
俺は光の速さで風呂に向かった。
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ロロ天Runa - ヤバッ、、、!最高ですね、はい、更新がんばってくださいね!!応援してます!! (2021年3月8日 20時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - なしなつさん» 私も実弥さん最推しです!! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
なしなつ - ハァァァァ尊い…!!不死川好きだわぁ… (2019年10月31日 20時) (レス) id: 737edd5ad9 (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!好きだと言っていただけて、嬉しいです! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
月 - この作品が好きです。頑張ってください! (2019年10月23日 22時) (レス) id: 72108a1f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurirol0305 | 作成日時:2019年9月29日 23時