夢ノ咲の最終兵器【あんスタ】

兵器が12つ ページ12

英智**




世間で言う一目惚れ、だったんだ。




たまたま通りすぎたときにいた、知り合いの隣にいる初めて見かけた少女に、僕は何故か心惹かれた。




対して目立つ見た目をしているわけじゃない。



それこそ渋滞にでも巻き込まれたらすぐに見失ってしまいそうなどこにでもいる、普通の彼女。




それが、朔間さんの隣にいて顔を綻ばせている彼女に僕は何故か惹かれてしまったんだ。




つむぎに調べてもらって色々分かった。



名前、住所、性格、事情。



事情を知ったとき、これは使えると思ったんだけどなぁ。




『何、自分は金持ちだから助けてあげるって言うの？
そんな同情、要らないんだけど』









『・・・・・別に、お金が欲しいなら自分でバイトするまでだしね』









絶対零度、と言えるくらいの無表情で僕にそう言った彼女は朔間さんといたときの優しい顔なんか、微塵も感じさせない無表情だった。




そう、昔の面影などありはしなかった。


“改めて”彼女と初めて会ったときは緊張して口が回らなかった。



だから、変な誤解が僕と彼女の間に生まれてしまったんだろう。



興味くらい持ったって、別に誰にも障害はないと思ったから。





ねぇ、“Aちゃん”





また、君は僕を忘れちゃったんだね。



『ばいばい、昔のAちゃん』なんて、すぐに忘れられたなら良かったのだろうけど。





ごめんね、Aちゃん。





僕は昔よりも貪欲で、我が儘らしい。

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