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【side.A】
肩に銀時の顎が乗り、耳に息がかかる。
銀時の匂い、息遣い、手の大きさ、胴の広さ。銀時の全部が身体中から染み渡るように感じられて、心臓が早鐘を打つのも止むを得なかった。
……いや、何だコレ。何恋人みたいな事になってんの。
「ね、ちょっと銀時…?なにして」
「俺と一緒に寝てりゃいいだろーが」
「は?」
「そうすりゃ二人で布団使えてラッキーじゃん。なァ、お前は、俺と寝んの嫌?」
「………いや、どういう思考回路なの馬鹿…、……一緒に寝るなんて、いい訳ないでしょ。ね、それよりもこの体勢の意味が分からないんだけど。降ろして…?」
一体何だと言うんだ。いつもの銀時と勝手が違いすぎる。
駄目だ、絶対にコレはヤバいやつ。これ以上銀時にバックハグ紛いのものをし続けられたら私の心臓は止まる。ホラ退いて、と銀時の胸を押そうと体を捩ると、私のその手を銀時がパシッと掴んだ。
そのまま銀時は私を引いて自身の胡座の上に座らせてきて、逃げられないよう腰に手まで回す。
「……っ、ちょ!何してんの銀時、馬鹿っ、降ろして!」
「あー?お前がいいって言うまで降ろさねェっつの」
銀時は笑みを深めて私を見上げた。銀時の暗い朱色の瞳と目が合って、息が止まる。
そんな私の隙に漬け込んで、銀時は腰と腹の中間の辺りを、する、と撫で上げた。その途端、ゾクゾクと何かが込み上げる感覚が走って「ぁ、ん」と訳の分からない声が漏れた。
ああ、最悪だ。急いで口元を覆うが、この熱っぽい顔はどうしても隠しきれない。
「ヘェ、ココ弱ェの?」
「ん…!そこ、触んないで…ぁ、……ってか、銀時なら…知ってるでしょ、」
「んー?あーそうだなァ、俺達ゃ何度もハ メた仲だもんなァ?弱いトコぐれー知ってら。お前の身体の事なら隅々まで___この奥も、な」
臍の少し下を、外側からぐっと押され、ひっ、と息を呑んで詰まらせてしまう。羞恥心で心臓が裂けそうになる。
もう、いきなり何でこんな事にならなきゃいけないの。火照る顔を手の甲で隠すけど、そんなものこの男の前では抵抗にもなりやしなかった。
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作者名:黒胡桃 | 作成日時:2023年5月6日 14時