もう一度忍術学園に行きたい【食満留三郎】

第36話 ページ37

(左手怪我してるとやることなくて暇だなーー)
時間を持て余していたAはすることがなく忍術学園をぶらぶらしていた。

(事務も手伝える事ないし、委員会はそもそも
止められてるからなあ……)
と悩んでいたAは視線を感じた。
Aは極力振り返らずに目だけで追うと、
柱の影に隠れてこちらを伺っている不破雷蔵がいた。
どうやら自分に話しかけるか否か迷っている
らしい。
前世で不破に嫌な記憶しか持っていないAは思わず顔をしかめた。

(こっちでは出来るだけ極力会話しなきようにしてたから別に惚れる様子ないはずだけど…………)

この場をどうするか考えたAは気付いてないふりをして、立ち去る事にした瞬間。

「あ、あのっ！(名前さん！！)」

不破に呼び止められ、逃げるタイミングを
失った。

(クソッ)
思わずAは舌打ちしかけた。

「何かよう？」

Aは振り返り、聞いた。

「えっっと、あまり話したことなかったですよね」

(そりゃ、あえて避けてたからな)

「5年ろ組の不破雷蔵です。
僕、こないだからずっとあなたのことが気に
なっていて…………」
「こないだ…………？」
「曲者を体術で倒した時からです！！
凄く綺麗で格好いいなって……」

憧れるような目で見てくる不破にAは
思い出した。

(そういえば……前も武術大会に出た後に告られたっけ……、本当にストーカー癖等を除けばいい後輩なんだが……)

「あ、ありがとう……」
「そ、それで僕気付いたんです
Aさんのこと、す、好きになってしまったんです！！」

Aは凍りついた。

(前はどうやって断ってたんだっけ…………
優しく……？駄目だ、思い出せない……
まぁ、冷たく当たれば、愛想尽かしてくれるだろ)

Aは不破を睨んで冷たく言い放った。

「悪いけど、私あんたの事どうとも思ってないし、むしろキライ、告白されても迷惑としか思ってないから、諦めてくれる？じゃ、」

Aは立ち去ってしまった。
呆然としている不破に実は隠れて様子を見ていた鉢谷が声をかけた。

「雷蔵！大丈夫か？ほら、あんな冷酷女止めとけって言っただろ！？」

しかし、不破は声に気付いていないのが呟いた。

「Aさんって何か氷みたいだよね」
「え？まぁ、確かに？」
「なんていうか抜き身の刀って言うか…………
冷たいのも好きだなあ………………」
うっとりと惚気る不破に鉢谷は
(えっっっ、雷蔵ってまさかそうゆうのがタイプなの？？)
と軽く引いたのだった。

第37話→←第35話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す