頼られたい ページ7
今日の昼食はパンだ。
本当の目的はパンではなく新しく買ったジャムだが。
いそいそと蓋を開けようとしたが、思いの外固い。
「うーーーん、開かない……」
ビンの蓋開けに格闘する事数分、結局開かずAは開けることを諦めた。
瓶オープナーどこいったっけな……とごそごそ探していると千空が台所までやってきた。
「何探してんだ」
「瓶オープナー、蓋がなかなか開かなくて……
あった」
これで開けられると思いきや……
なんと蓋のサイズと合わないではないか。
結局振り出しに戻り溜め息をつくと千空が貸せと言ってきた。
「こーいう時はお湯につけてあっためりゃあ……」
そうしてお湯につけること数分。
蓋は開かなかった。
「…………ぐっ、固ってぇな」
千空は唸りながら蓋を捻ったものの全然開く様子がない。
「…………こりゃ無理だな」
自分の手で開ける事を諦めた千空は次の手段にチェンジした。
その手段とは。
「おい、デカブツ
ビン開かねぇから開けろ」
同じマンションに住む大樹に開けてもらうことだった。(ちなみに大樹と杠は結婚している)
「これを開ければいいんだな？」
特に苦労する事もなく大樹の手によって容易く蓋が開けられこれで目的は達成する事ができた。
せっかくなので大樹、杠も一緒に昼食を食べることになったのだが。
その食事の後、Aは杠に今日の出来事を話した。
「ねぇ、杠、疑問なんだけど」
Aは千空は握力がAよりも弱く、Aが開けられなかったのであれば千空が開けれるはずがない。
大樹に開けて貰えるのであれば最初からそう頼めば良かったのでは思う。
そして千空ならそう考えるんじゃないかと。
と言うと杠はふふ、と笑ってこう言った。
「きっと千空くんは頼れるところを見せたかっんじゃないかな？」
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作者名：メクルクル | 作成日時：2021年7月24日 18時
