みんなが幸せならそれで【天祥院英智】

【本当の気持ち】 ページ8

「A、我輩たちは怒っとらんよ
　五奇人たる我輩たちも復活し
　そして、月永くんも帰ってきておる」

『そりゃどうも
　でもさ、今平和だよね？』


平和じゃん今は


「たしかにあの頃に比べて平和じゃのう…

　じゃが、これでは、お主だけじゃ不幸じゃ」

『…別に、不幸じゃない

　零なら知ってるよね？わたしはなによりも
　平和が好きだって。』


私が不幸？
そんなことない


『無意味な戦いもなく、
　生徒会という権力に怯えることもない

　いいじゃん、私は幸せ』

「…さっきから屁理屈ばっか並べやがって
　テメェは、いつまでウジウジしてんだ？」

『ウジウジ？笑わせんな

　私がこれでいいって言ってんだよ
　お前はこれ以上口出すな』

「お前だけだ、ずっと過去に囚われてんのは
　みっともねぇなぁ？A？」

『…みっともなくて結構

　これで平和が続くなら
　私は日陰で一生暮らすよ

　話はこれだけ？
　それじゃ、私も暇じゃないから』


話は終わってねぇぞ！という零の静止を
無視して、部屋から出る。

早足で、今は使われていない
防音室へ急ぐ。

私だけがもつ鍵で中に入る。

そこは、私の、私たちの思い出が詰まった場所
かつての衣装や、譜面などが置いてある場所であり、みんなの溜まり場


その瞬間耐えていた涙が溢れる







私も幸せになりたい。


助けて。


なんて言わないから。

　
私だけが悪役でいい。
　

どんな物語にも悪役が必要でしょう？


みんなが幸せならそれでいい。


　
〜〜〜〜


テメェはいつもそうだ。

みんなが平和なら自分は
望んで悪役になる。

昔っから変わらねぇ


そんなお前があの時
根暗野郎から首を切られた時
何もかも失ったような顔をしたのが
俺たちは忘れなんねぇんだよ。

お前のおかげで俺たちは復活した。
また、ここに蘇った。


お前は、辛い時こそ笑う

私は平気だと。


なぁ、じゃあなんで

"私は日陰で一生暮らすよ"

なんて笑顔で言うんだよ。

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